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第64話 電話

次の日の朝、私は電話の声で目を覚ました。


「また、お前かよ…

何だよ、朝っぱらから…


はぁぁぁ?


知らねーよ、そんなの!


ヤクザに月見もクソもないだろ。」


お月見?

なんだか、またイベントがありそうだ。


まぁ、そんな気分にはなれないのだが…


「よろしくって!

ちょっと待てよ、八雲!!!」


電話は一方的に切られたようだ。


「…どうしたの?」


一応私は暁さんに声をかける。


「俺の家で、月見会しようってさ。

全く。

アイツの頭ん中は祝いの酒の事だけだ。


ったく。」


「頭の中が仕事ばかりの人よりは良いと思うけど?」


私は嫌味を言う。


「ふん。

俺の頭の中がお前にわかってたまるかよ。」


暁さんは、言う。


「じゃ、昨日何考えたか、教えてよ。」


「…言わねーよ。」


暁さんは、そう言ってタバコを咥えた。


ずるい!

そうやって、含みを持たせた言い方をするんだから!


そう、ずるい…


神桜さんとキスした私はもっとずるいんだ…















そして、さすがにお腹が空いていたので、朝食のオムレツとハッシュポテト、それからトーストを食べた。


「十五夜は、明日だから今日食材買いに行こう。


それに、そろそろ秋冬の洋服が要るだろ?

夜宵?」


「洋服は自分で買うから。」


「金あんの?」


「貯金があるから、大丈夫。」


「いいよ、洋服ぐらい買ってやるって。」


「嫌なの!私が!」


私はつい強い口調で言ってしまった…


「…好きにしろ」


暁さんは、氷のように冷たい。

初めてあの港で会った時、私を見る目にそっくりだった。


ヤッパリ


ワテシハ


アイサレテナイ


目の前が真っ白になりそうだった。


だけど、涙をグッと堪えて、買い物に行く用意をした。








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