次の日の朝、私は電話の声で目を覚ました。
「また、お前かよ…
何だよ、朝っぱらから…
はぁぁぁ?
知らねーよ、そんなの!
ヤクザに月見もクソもないだろ。」
お月見?
なんだか、またイベントがありそうだ。
まぁ、そんな気分にはなれないのだが…
「よろしくって!
ちょっと待てよ、八雲!!!」
電話は一方的に切られたようだ。
「…どうしたの?」
一応私は暁さんに声をかける。
「俺の家で、月見会しようってさ。
全く。
アイツの頭ん中は祝いの酒の事だけだ。
ったく。」
「頭の中が仕事ばかりの人よりは良いと思うけど?」
私は嫌味を言う。
「ふん。
俺の頭の中がお前にわかってたまるかよ。」
暁さんは、言う。
「じゃ、昨日何考えたか、教えてよ。」
「…言わねーよ。」
暁さんは、そう言ってタバコを咥えた。
ずるい!
そうやって、含みを持たせた言い方をするんだから!
そう、ずるい…
神桜さんとキスした私はもっとずるいんだ…
そして、さすがにお腹が空いていたので、朝食のオムレツとハッシュポテト、それからトーストを食べた。
「十五夜は、明日だから今日食材買いに行こう。
それに、そろそろ秋冬の洋服が要るだろ?
夜宵?」
「洋服は自分で買うから。」
「金あんの?」
「貯金があるから、大丈夫。」
「いいよ、洋服ぐらい買ってやるって。」
「嫌なの!私が!」
私はつい強い口調で言ってしまった…
「…好きにしろ」
暁さんは、氷のように冷たい。
初めてあの港で会った時、私を見る目にそっくりだった。
ヤッパリ
ワテシハ
アイサレテナイ
目の前が真っ白になりそうだった。
だけど、涙をグッと堪えて、買い物に行く用意をした。