暁さんが、久しぶりの会社から帰ってきた。
その表情はなんだか、苦虫でも噛み潰したように渋い顔だった。
「遅かったけど、どうかしたの?」
私は手羽先とナスの煮物、味噌汁を用意しながら、聞いてみた。
「あぁ…
そっか。
悪い。
飯食ってきたんだよ。」
「えぇ!?
もう!
それなら、LINE一本くれればいいのに!
もったいないじゃない!」
私は結婚3年目ぐらいの奥さんのように暁さんに文句を言った。
「悪い、忘れてた…」
「何かあったんでしょ?
教えてくれないの?」
「人の事だから、そんなにベラベラ喋る訳にはいかんだろ。」
暁さんは、冷たい。
そう、冷たい。
ドライアイスよりも冷たい。
神桜さんだったら…
もっと優しくしてくれるのかな?
ふと、そんな事を思ったりする。
「何考えてんの?」
「しーらない!」
私は仕返しするかのように、ぷいと横を向いて言う。
「…明日昼間居ないから。
留守番頼んだぞ。」
「え、今日もいなかったのに、またなの…?」
「なんだよ、そんなに俺に一緒に居て欲しいのか?」
暁さんが、私を後ろから抱きしめる。
「ご飯中!」
私は本当に可愛くない。
「はいはい。
とにかく、明日頼んだぞ。
お土産買ってきてやるよ。
いい子にしてたら。」
「なによ、人の事子供みたいに。」
「胸は子供サイズだろ。」
「し、し、失礼ね!
もう、知らない!」
暁さんは、やっとリラックスしたように笑った。
その笑顔が、私を癒してくれる。
どうして、もっと可愛く、好きなの!って言えないんだろうか…?
でも、もしも、迷惑だってフラれたら…?
きっと私は立ち直れない…