私はその日退屈していた。
昨日も会社だったのに、今日も居ないし…
やっぱり、行かないで!って言えば…
ううん!
キャラじゃ無いし!
どうしようかな…?
神桜さんの所に行ったら…
きっと期待させちゃうし、またキスされたりしたら…
色々考えて、行けなかった。
その時、インターホンが鳴った。
神桜さんだ…!
ど、ど、どうしよう!?
って、普通でいいのか!
私は玄関を開けた。
「あの…
今、暁さん居なくて…」
「そうですか。
会社の書類を渡しに来たんですけどね。」
神桜さんは普通そうにそう言った。
「えと、昼だけって言ってたから、もうすぐ帰って…」
と言ってる途中で、暁さんからLINEが入った。
『遅くなる。
夕飯はいらない。』
私はそれを見て、がっかりした。
一体いつ家に帰ってくるのだろうか?
「夜宵さん、私とデートしませんか?」
神桜さんの声が上から降ってきた。
「え…
デート…?」
「そう、どうせ、暁さんが遅くなるなら、それまでに帰ってくれば良いでしょう?」
「それは…
そうだけど…」
「行きましょう。
さぁ。」
神桜さんは私の手を取り、引っ張っていく。
暁さんとは違う体温の低い僅かに冷たい手だった。
私達は手を繋いだまま、駐車場に降り、神桜さんの赤のフェラーリに乗った。
「さぁ、お姫様。
どこに行きますか?」
「んー…
渋谷の109に行ってみたいんだけど…」
私は言ってみる。
「仰せの通りに。」
神桜さんはニコリと笑ってエンジンをかけた。
「神桜さんて、人混みとか嫌いじゃ無いの?」
なんとなくそんな気がした。
「まぁ、あまり好きではありませんね。
でも、好きな人が好きな物は好きになるタイプなんですよ。笑」
そのストレートな言葉に私は若干赤くなる。