フェラーリはあっという間に渋谷に着き、パーキングに停めて私達は109に向かった。
「洋服…ですか?」
「うん、そう。
ネットで秋物買おうと思ってたけど、やっぱりサイズとか分からないし…
うーん、すごいお店ある!
あ、あそこ、入ってもいい!?」
「良いですよ。」
私は長袖の白シャツと、モスグリーンのカーディガン、デニムのジャケットに、シルバーのベロアのスカート、ワインレッドのワンピースをカゴに入れた。
お金…足りるけど、冬物もいずれ買わなきゃだから、あんまり買えないよね…
と、思っていると、神桜さんがカゴを取り上げてお会計してしまった。
「か、か、神桜さん!
お金払います!」
「年上にはもっと甘えるべきですよ。
洋服で破産はしませんから、好きなだけお買いなさい。」
「神桜さんは、私のこと甘やかし…す…ぎ…」
と言ったところで、顎をクイッとあげられ、軽くキスされた。
「これが代金ですよ。」
「こ、こ、こんな所で、もうっ!」
私は赤面して、神桜さんをポカポカ叩いた。
「ははっ。
降参こうさん!
もうしませんよ。
人前では、ね?」
神桜さんは瞳を三日月にして笑った。
その笑顔はどこかの美しい絵画の中のようだった。
買い物を終えた私達は、洋服を車に乗せ、渋谷の街を散歩することにした。
その時。
「あー…
こっちの道にしませんか?」
神桜さんが言う。
「えっ?
あっちの方が賑やかですよ?」
私が賑やかな方の道を見ると…
そこには…
ラブホテルに入る暁さんと知らない女性がいた。