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第76話 涙

な…ん……で…?


そっか…


私なんかお呼びじゃ無いんだ……


私の瞳から涙が溢れ落ちる。


それを見た神桜さんは、私を抱きしめた。


同時に雨も降り出したけど、どーでも良かった。


傘を買いますか?と聞く神桜さんに首を横に振ると、私はずぶ濡れになりながら、フェラーリまで歩いた。


私の心の中も土砂降りだった。












私は窓の外を眺めながら、泣いていた。


そんな私の右手を神桜さんの冷たい左手が握り、彼は言った。


「そんな状態のあなたをあのマンションに帰したくありません。」


「私も…帰りたく…無い…」


だけど、行く当てなんてなかった。


「私が白金に持っているマンションに行きましょう。


そこなら、暁さんも知りません。」


そして、マンションに着いた。


「シャワー浴びてください。

風邪引きますよ?」


「…私馬鹿みたい!

だって…

だって…


勝手に大事にされてるんだって思って…


暁さんは私の事、本当におもちゃとしかっ……!」


「………。」


神桜さんは、困ったように沈黙する。


「どうして何も言わないの?


馬鹿だなって言えば!?


神桜さんだって、私の事…


面白半分で…!」


「それ以上言うと怒りますよ?


私は面白半分で、好きだと言うほど、軽くありません。」


「…ごめんなさい…」


「良いから、シャワーを。

その間に洋服を乾燥機にかけていますから。

それから、また、泣けば良い。」


私は浴室で、温かいシャワーを浴びた。

その時だけは、シャワーが私の涙を洗い流してくれた。


私はまだ、乾燥機が動いていたので、モコモコのバスローブを羽織って浴室を出た。










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