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第78話 女遊び

side神桜


暁さんが女遊びをしていたのは、知っていた。


おそらく、ラブホテルに入って行った女も、ただのセフレだろうとは思う。


だけど、それは夜宵さんを傷つけるには十分過ぎた。


暁さんから、好きという言葉さえも貰っていない彼女は、自分をオモチャだと蔑んだ。


どうしようか、と思った。


この傷につけ込み、私のモノにしてしまおうか?


暁さんにもう一度だけ、チャンスをあげようか?


悪魔と天使が同時に私に囁いた。


とりあえず、暁さんに電話をする事にした。


「もしもし?」


『もしもし、どうしたんだ?』


私から暁さんに電話をかけることなど滅多になく、暁さんは不審そうに尋ねた。


「あなた今日渋谷のラブホテルに入ったでしょう?」


『…なんでそれを?』


「偶然見かけたんです。

夜宵さんもね。」


『夜宵も!?

…夜宵はどこにいる…?』


「さぁ、どこでしょうねぇ。

あなたのマンションには帰りたく無いと泣かれましてね。


白金の隠れ家にいます。

本気で好きなら迎えに来てあげてください。


まだ、意地を張るのであれば…


私がいただきます。」


私はそう言って一方的に電話を切った。


どうやら、天使が勝ったようだ。


いや、悪魔の自分も居ることは居る。


だが、チャンスは与えた。













彼女は、バスローブで目を擦りながら、起きてきた。


全く、そんな格好で居ると、襲われますよ?


そう言って、着替えさせた。


まぁ、どちらにしても襲う気はあるのだが…


それにしても、暁さんは白金というワードだけで、ここが分かるのだろうか?


いや、あの人なら…

あるいは…


ならば、今夜襲ってしまおうか…?


私に再び悪魔が囁いた。











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