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第80話 好き…

神桜さんは、最初インターホンを無視していたが、舌打ちすると、リビングに行った。


そして、数分後…












暁さんが部屋に入ってきた。


「夜宵!」


「あ…かつ…きさん…」


彼は裸の私を抱きしめて言った。


「好きだ…」


と。


それは、ずっとずっと私が欲しかった言葉だった。


「私も…好き…」


「知ってるよ。


神桜、夜宵は連れて帰る。」


暁さんが、神桜さんに言った。


「ふむ。

まぁ、今日の所は負けてあげましょう。」


神桜さんは、肩をすくめた。


私は着替えて、暁さんと一緒にいつものマンションに帰った。


暁さんは、片手で運転し、ずっと私の右手を握っていた。

それは、紛れなく、暁さんの体温の高い手だった。


「…ねぇ、私の事…」


「好きだよ。

誰にも渡さない。」


「私…ずっと…その言葉が欲しかったの…」


「ずっと言えなかった…

俺なんかが、カタギのお前に手を出すなんて…


だけど、もう、自分の気持ちに嘘は付けない…」


私達はキスをしながら、ペントハウスに上がり、ベッドに直行した。


彼はキスの雨を降らせながら、何度も私の名前を呼び、私を高みへと連れて行った。


「あ…か…つき…さん…」


「伊織…」


「え…?

あっ…」


「名前だよ。

俺の。


そう呼んで。

今だけでも…」


「伊織…んっ…!」
















翌日、私は暁さんの腕の中で目を覚ました。


「おはよう…ございます…」


私はおずおずと言う。


「ん、あぁ…

身体…大丈夫…か?


結構無茶したような…」


「へ、平気!

暁さん…」


私は彼の頬に手を添えて、キスをする。


彼はそれに応えて、舌をからめる。


そんな時、携帯電話が鳴った。












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