神桜さんは、最初インターホンを無視していたが、舌打ちすると、リビングに行った。
そして、数分後…
暁さんが部屋に入ってきた。
「夜宵!」
「あ…かつ…きさん…」
彼は裸の私を抱きしめて言った。
「好きだ…」
と。
それは、ずっとずっと私が欲しかった言葉だった。
「私も…好き…」
「知ってるよ。
神桜、夜宵は連れて帰る。」
暁さんが、神桜さんに言った。
「ふむ。
まぁ、今日の所は負けてあげましょう。」
神桜さんは、肩をすくめた。
私は着替えて、暁さんと一緒にいつものマンションに帰った。
暁さんは、片手で運転し、ずっと私の右手を握っていた。
それは、紛れなく、暁さんの体温の高い手だった。
「…ねぇ、私の事…」
「好きだよ。
誰にも渡さない。」
「私…ずっと…その言葉が欲しかったの…」
「ずっと言えなかった…
俺なんかが、カタギのお前に手を出すなんて…
だけど、もう、自分の気持ちに嘘は付けない…」
私達はキスをしながら、ペントハウスに上がり、ベッドに直行した。
彼はキスの雨を降らせながら、何度も私の名前を呼び、私を高みへと連れて行った。
「あ…か…つき…さん…」
「伊織…」
「え…?
あっ…」
「名前だよ。
俺の。
そう呼んで。
今だけでも…」
「伊織…んっ…!」
翌日、私は暁さんの腕の中で目を覚ました。
「おはよう…ございます…」
私はおずおずと言う。
「ん、あぁ…
身体…大丈夫…か?
結構無茶したような…」
「へ、平気!
暁さん…」
私は彼の頬に手を添えて、キスをする。
彼はそれに応えて、舌をからめる。
そんな時、携帯電話が鳴った。