第91話
しかし、田園調布に向かうはずのリムジンは何故か千葉の方向へ向かった。
「え…?
こっちって、江戸川区…?」
私は不思議そうに尋ねた。
そして、リムジンが着いたのは閑静な住宅街にある、赤い屋根の小さな一軒家だった。
壁はベージュで、玄関はブルー、花壇が付いていて、お菓子の家のような可愛らしい家だ。
「な…んで…?」
「あなたの好みの家を探すのに苦労しましたよ。笑
田園調布には豪勢な家ばかりデショ。
結局江戸川区まで…」
「素敵だわ!
ありがとう、調月さん!」
私は笑顔で心からそう言った。
「全く…
困った人だ…」
調月さんは大袈裟に肩をすくめる。