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第2章

第2章 ぽんぽこ花火大会なのー!にぱー


 エンドがほっぺたを膨らませる程に ピザを詰め込む

「美味しいのなのー!」

 ライト様がタバスコを ふる

「なぁに?」

 首を傾げるエンド

 お目目シパシパするのなの

 ちょっぴり指でなめてみる

 ボボン……

 エンドの顔が湯気を噴いた

 からぁいのなのー……

 エンド……チャレンジャーだね

 ライト様が 人差し指でつつく

「燃えちゃうのー」

 涙目エンド

 ぽむと 真空波を放ってひっくり返えった

「もう……」

 シャリーが苦笑する

「はい……特効薬」

 ちいっちゃい金平糖を エンドにふくませた

「ジャーンと復活なのー」

 真っ赤っかなお口を ヒーヒーさせてはいるが

 にへらがお

「現金なんだから」

 シャリーが こちんと 指で つついてやった

どどぉーん……

薄暗い夕闇の夜空

 スターマインがかけのぼる

「きゃー」

 赤毛でくせ毛の 女の子が 花火を 抱くように手を広げた

 空を抱く仕草

 彼氏だろうか

 青年が 目を細めている

 ハイツに似てるな……

 シャリーが思った

「金糸銀糸で ぬいとった見たい」

 女の子が ちょっぴり詩的な事を言った

 彼がハイツなら……ミソノかな?

 茶目っ気たっぷりにライト様

 がちゃん

船乗り達が ビアカップを打ち合わせて 海の歌を歌っている

 ふんわりと 甘い匂いが漂って来た

「クレープなのー」

 エンドが どぴゅんと 飛び出す

 そして 屋台に 飛びついた

 バニラと 生クリーム

 そしてチョコスプレーに バナナスライス

 いろーんなクレープ

 シャリーが 目を輝かせた

「食べるかい?」

 ライト様が銀貨を 握らせる

「ライト……でもこんなに……」

「良いから好きなだけお食べ!すこーし君は痩せてるから」

 パチン……ウインクした

「そんなはず……太りました!」

 自分を 見下ろす

「少し丸いくらいの方が抱っこしやすくて良い……」

何を考えたのか?

 あのライト様が赤くなった

「なぁに考えてるのなのー!」

 シャリーとエンドのツッコミどころが揃う

「抱っこって……ライト!」

 シャリーが ピョコンと眉を上げた

「君は僕の妻だろう?」

 覗くライト様

 シャリーが ピンと ライト様の 鼻をはじいた

「エッチ!」

「はははは……」

 楽しそうにライト様

 しかし

 その瞳に 金の花火をうつしながら 少し寂しげに黙る

 ライト?

 シャリーが バナナクレープを 差し出して寄越す

「あ……すまないね……」

 ライト様が少しだけ言い淀んだ

「どーしたのなのー」

 生クリームに 顔を埋めていたエンドが クリームまみれの顔で聞いてくる

「ふ……男として君に心配かけるなんて失態だね」

 ライト様が

 おもむろに ガブッとクレープにかぶりつく

 その仕草に ちょっぴり寂しさを感じてシャリーが ライト様のシャツを引いた

「大丈夫だよ……」

 エメラルドの瞳が泣きそうだ

 ドーン

 ライト様の背後で超特大の 花火が開いた

「きゃーー!」

 エンドがクレープに溺れながら

 パタパタと 手を振る

「泣きそうなのー!」

 クリームだらけのちいっちゃい口元がライト様の頬を吸う

「おや……最高のお医者はヤキモチかい?」

 気を取り直したライト様がシャリーを からかった

「黙ってて……」

 シャリーが 背伸びをする

 そして目を瞑り

 ちゅ……

 ライト様の唇を吸った

「しゃ……」

 ライト様が 目を見開く

「何があったか聞きません!でも言いたくなるまで

 逃がしません!」

シャリーの指がライト様を射抜いた

「ちゅーなの!」

 エンドが揶揄うがシャリーは赤くなる事はしない

 金の瞳が揺れる

「ちゃーんと言うんですよ!シャリーは妻なんですからね!」

 びしり

 決めポーズ

 ライト様が盛大に頭をかき混ぜた

 ドーン……

 銀の花火が煌めいて

 ライト様の髪を飾る

「綺麗なのー」

 エンドが パタパタと 羽を揺らす

「やられたね……」

 赤くなったのはライト様

 いつか君に言うから……と 約束をする

「絶対ですからね?」

 シャリーがまるで母のようだ

 ライト様は

 ふ……と思ったのである

 そして

 綺麗な月明かりが シャリーの胸元に差し込んだ時

 ぱあっとネックレスの水晶が光った

 2人の間に星座が照射される

「わ……」

 シャリーが 笑顔になった

 綺麗!

「だろう?」

 ライト様が 指を伸ばした

 そしてカララと 水晶を回転させる

 月の満ち欠けが再生された

 魔法なの!

 エンドが水晶を覗いた

「透かし彫りの技術らしい……職人の遊び心だね……」

 恋人達の星座……

 それから聖なる月の満ち欠け

 アリアンロッド……

 女神を信仰する港町にはふさわしい遊び心だ

「粋だろ?」

 船乗りのお兄さんが ライト様の肩を抱いた

 フルーツビールを シャリーにくれる

 ライト様には特大ジョッキが手渡された

「のめー!」

 かなりビールが回っているようで お兄さんは 千鳥足だ

「大丈夫ですか?」

 シャリーが支える

 おほん!

 ライト様が咳払いをした

 ヤキモチらしい?

「僕以外に触れては嫌だよ!」

 なんだか子供みたいだ

「ういー」

 お兄さんが ベンチに座るといびきをかきだした

「おーい!すまないねお兄さん達」

 船乗り仲間が

 お兄さんを抱えて行く

「ふ……」

 ライト様が一気に赤くなる

「ライト」

「らしくないね?すまない!」

 恥ずかしいのか顔を拭った

「いいんです!」

 シャリーがライト様の手を握る

 どこからか星巡りの歌が聞こえて来た

 花火は何時しか終わり

 空は満天の星空

「シャリー!もう少し付き合ってくれ……カフェに行こう」

 ライト様がシャリーと連れ立つ

 エンドは大きな綿菓子を抱きながら

 ふよふよと続いた

 エンドったら!

 食いしん坊ね!

 シャリーが笑う

 そして綿菓子を摘むと そっと舐めた

「美味しい」

シャリーが目を細める

 シャリーもポンポコリンなのー!

 エンドがキャハハと お腹を抱えた

 月影に 三日月の影絵の街灯

「ここだよ」

 ライト様が つま先で 3回トントントンと石畳を叩く

 ボボ!

 街灯が伸びて行き

 瀟洒なカフェがあらわれた

 飾りガラスに 三日月の 模様の 入った扉に

 月影カフェと銘打った看板

「はいるよ」

 ライト様が 呼びかける

「ほらね……」

 少しハスキーな女性の声

 来ると思ってた

 彼女は月光に話しかけたのだった






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