旦那様、効率的にいきましょう ~ 魔力婚なんですから、溺愛は結婚してからでお願いします ~
瀬里
異世界恋愛ロマファン
2025年09月15日
公開日
3.2万字
連載中
魔力の大きさが何よりも尊ばれるモンテリュー王国。
貴族男性は二十歳、貴族女性は十七歳になると、男性は爵位が高い順に、女性は魔力が高い順に、強制的に結婚相手を決められてしまう。
魔力婚と呼ばれるこの仕組みを、愛を引き裂かれたと嘆く恋人たちもいれば、面倒がないと喜ぶ者たちもいる。
美しい容姿と魔力にあふれた黒髪から「宵闇の妖精」とも名高い伯爵令嬢ルシー。彼女は後者だった。
魔力溢れる彼女は、名門公爵家嫡男、泣く子も黙るコワモテ騎士団長クレマンとの結婚が決まった。
結婚に手順や段階を踏むことなど無駄でしかないというルシーと、教会の教えに従い信頼と愛情を育むべきだというクレマン。
「さっさと子どもを作ってお互い自由に過ごしませんこと?」
「婚約期間は一年だ、信頼と愛と絆を深める時間が必要だ」
「効率的にいきましょう、旦那様。子どもができてしまえば、結婚は早めてもらえますわ」
「段階的にいく。まずはデートからだ」
「……はぁ、わかりました。最初のデートで手をつないで腕を組んでキスまで済ませましょう」
「おいっ」
破天荒な妖精姫と振り回される堅物コワモテ、だけど純情騎士団長。
しかし、ルシーが結婚に効率を求める理由を、クレマンはまだ知らない。
ルシーに残された時間は、あまりにも少ないのだということを──。