53歳おっさんテケナー
現実世界現代ドラマ
2025年11月02日
公開日
6.5万字
連載中
佐伯ミナは、幼いころから大学まで、
「断れば嫌われる」
「優しくすれば誤解される」
「黙っていても罪になる」
――そんな歪んだコミュニケーションに、当たり前のように晒され続けてきた。
大学一年で心が折れ、引きこもった彼女が出会ったのは、
偶然目にしたテレビの「コンプライアンス特集」だった。
そこには、感情ではなく規程と線引きで人を守る世界が映っていた。
「傷つかない生き方は、ある」
そう気づいたミナは、
“コンプライアンス”を鎧に、
許可なき心への介入を拒む生き方を選ぶ。
社会人となった彼女は、
善意も好意も雑談も、すべてを許可制で扱う女へと変貌する。
境界侵犯は暴力。
無自覚な優しさはハラスメント。
職場恋愛、距離感ゼロの会話、ちゃん付け、推し活、副業──
「それ、どこからがアウト?」を、
言葉と規律で一つずつ斬り分けていく。
これは、
沈黙が支配する巨大企業の内部で、
“ぶれない規律の刃”を携えた一人の女が、
社会を生き抜いていく物語。