麦狼
異世界ファンタジー冒険・バトル
2026年03月04日
公開日
1.7万字
連載中
楽園は、空にある。
雲の上に築かれた環状都市アルカナム。
石と魔力と契約によって支えられたその都では、選ばれた者だけが空の民として生きることを許される。
地上は雲海の底。
かつて文明があったとされる場所だが、いまはただの禁忌だ。
天の人間は地上に降りるべからず。
そは原罪なり。
それが、この都市の最初の掟だった。
だが――
もし楽園が、誰かを喰らうことで浮いているのだとしたら?
都市にはひとりの少年がいる。
魔力を持たず、それでも最強と呼ばれる存在。
彼は他者の力を喰らう。
能力も、記憶も、人格さえも。
そして、喰われた者は雲海へ落ちる。
墓はない。記録もない。
空葬だけが、すべてを終わらせる。
そんな彼に、ある日ひとりの少女が出会う。
「あなたの中、澱んでいます」
魂を読む少女。
喰らう少年。
ふたりが出会ったとき、
楽園の均衡は静かに軋みはじめる。
やがて明かされる真実。
永久機関の正体。
地上に残された“最初の罪”。
そして少年は選ばなければならない。
天に残るか。
地に堕ちるか。
天の人間は地上に降りるべし。
その言葉が意味するものを知ったとき、
空は初めて――落ちる。