三年、嫌いな婚約者に毒舌ラブレターを書いた私。姉が私になりすまして彼と結婚した後、本性を愛する御曹司社長の妻になった
Nettō
恋愛現代恋愛
2026年09月29日
公開日
2.5万字
連載中
私は表向きは大人しくて弱いふりをしていた。
けれど裏では、復讐のためにすべてを記録していた。
六歳の時の彩色ハンドボール。
七歳の時のうさぎ型チャーム。
八歳の時の金色のヘアピン。
姉に奪われたものは、ひとつ残らずスマホのメモ帳に記録していた。
神代昭元には、何度も屈辱を与えられた。
だからこそ、彼がフィリピンへ三年間追放される日を、私はずっと待っていた。
梅枝堂の便箋に、三年間かけて彼への悪口を書き続けた。
一年目。
「ちゃんと食事にありつけているの?」
二年目。
「もう死んだ?」
三年目。
「貴重なビザ枠を無駄にするな」
そんな言葉ばかりを綴った。
まさか。
彼が再び力を取り戻して帰ってくるなんて。
そして、私が書いた罵倒の手紙を一枚ずつ辿り、差出人を探し出して我が家まで乗り込んでくるなんて。
「あなたの家の娘さんを、妻に迎えたい」
そう言われた時。
私は心底うんざりしていた。
けれど、幸運なことに。
姉が恥ずかしそうに前へ出て、自分だと名乗った。
こうして姉は、神代家の未来の花嫁になった。
姉はきっと思っていた。
これは情熱的な恋文なのだと。
けれど彼女が手に入れたものは――
数え切れないほどの悪口の手紙だった。
私は姉に、その“愛の言葉”を覚えさせた。
けれど彼女は、たどたどしく読むだけ。
神代昭元が私へ謝罪文を書けと言った時。
私は七つの文の頭文字を繋げて書いた。
「お前は最低なろくでなし」
彼は気づかなかった。
その後。
彼は私を監禁し、結婚を迫った。
けれど、誰からも相手にされなかった私の婚約者――久世晏之が仲間を連れて扉を破った。
そして神代昭元の父親へ圧力をかけた。
神代家は厳しく叱責され、権力を取り上げられ、箱根へ謹慎を命じられた。
これで本当に終わり。
今度こそ、彼は惨めな人生を送ることになる。
結婚式の日。
私は背伸びをして、彼の唇の端へキスをした。
彼の耳は真っ赤になった。
私たちは汐見の海で潮干狩りをした。
釣りをした。
錦玉羹を食べた。
そして私のスマホのメモ帳には、新しい一行が増えた。
「久世晏之――一生かけて、ゆっくり返していく」