早田 陣
異世界恋愛ロマファン
2026年10月10日
公開日
1.5万字
連載中
伯爵令嬢リディアは、思いついたら止まれない。
香草石鹸、共同工房、王都の販売所。
良かれと思って始めた事業を次々と失敗させ、ついには家族から「もう何もしなくていい」と仕事を取り上げられてしまった。
そんな彼女に持ち込まれた最後の縁談。
相手は、三年間も領地改革を考え続けながら、何一つ始められなかった男爵アルベルトだった。
「私は始めて失敗する。あなたは失敗しない代わりに始めない」
社交界から『思いつき令嬢』と『帳簿男』――ハズレ同士と笑われながら、なぜか結婚することになった二人。
ところが嫁いだ男爵領は、あと八か月で資金が尽きる崖っぷちだった。
走り出したら止まれない妻。
考え始めたら決められない夫。
ならば、お互いを止め、お互いを動かせばいい。
二人は互いの欠点を抑えるため、『夫婦協定書』を作る。
リディアが新しい案を生み出し、アルベルトが数字と資料で実現できる形へ変える。
アルベルトが迷って止まれば、最後はリディアが決める。
一人では失敗ばかりだった二人が、夫婦になるとなぜか物事を動かせるようになっていく。
水車、市場、荒れた街道。
そして、交易の利益を握る格上の伯爵。
『思いつき』と笑われた令嬢の一言が、やがて王家をも動かしていく。
領地を立て直すうち、仕事のためだけだった『夫婦協定書』にも、少しずつ相手を気遣う条項が増えていき――。
これは、誰にも期待されなくなった令嬢が、何も始められなかった夫と互いの欠点を力に変え、笑われる側から選ぶ側へと駆け上がっていく、仕事と恋の逆転物語。