夫が私の小説で文学賞を取った日、私は離婚届を出した
swingout777
現実世界現代ドラマ
2026年10月12日
公開日
7.9万字
完結済
夫が文学賞を受賞した夜、私は離婚届を鞄に入れていた。
五十二歳の小宮紗和は、人気小説家である夫・晴彦の作品を二十年間にわたって代筆してきた。受賞作も、壇上で語られたスピーチも、すべて紗和が書いたものだった。
ところが栄光の夜、夫から告げられたのは、若い女性との再婚だった。
「お前の名前で小説を出して、誰が読むんだ?」
夫の言葉に、紗和は離婚を決意する。
しかし、家を出た彼女には職歴も実績もない。夫は代筆の事実を否定し、それどころか次回作まで書くよう要求してくる。
紗和に残された武器は、二十年分の草稿と、誰にも奪えない文章を書く才能だけ。
かつての知人である編集者との再会をきっかけに、紗和は夫の嘘を暴き、自分自身の小説を書き始める。
だが、過去の作品には、最愛の娘まで傷つけてしまった秘密が隠されていた――。
夫の名声を支え続けた無名の妻が、すべてを失った場所から人生を取り戻す。
五十二歳。私の物語は、ここから始まる。
これは、裏切られた妻の復讐劇であり、ひとりの女性が自分の名前を取り戻す、逆転と再生の物語。