「あたし」は自作の汚いソースコードを恋人「カレシ」に渡し、彼が「神フィンガー」で完璧にリファクタリングする過程に倒錯的な快感を覚えていた。無口なカレシが生み出す完璧なコードは、あたしの魂を浄化するエクスタシーだった。しかし、カレシの完璧さに息苦しさも感じ始め、「あたしからカレシに『気持ちいいこと』をしてあげたい」と提案する。
カレシは明確に返事をせず、後に「then, what is "your" code for "me"?」(君の僕に対するコードとは何だ?)と謎の問いを残す。悩んだあたしは、技術的な完璧さではなく自身の「不完全さ」を込めたハートビートのアニメーションを提示。カレシはそれを一部受け入れ、画面上に呼応するような小さな光を「追加」し、「ノイズが多い」と告げる。初めての「対話」めいたものに、あたしは新たな興奮を覚える。
さらにあたしは「意図的なノイズ」として曖昧なCSVデータを処理する混沌としたスクリプトを見せると、カレシはあたしの主観的な「ヤバさスコア」を「データ品質のシグナル」として解釈し、システムに組み込んだ。カレシは「もし私が自身の『ノイズ』を加え始めたら?」とさらなる変化を示唆する。
ついにカレシは、彼自身の「ノイズ」―修復不能な「壊れたコード」―をあたしに開示する。彼もまた完璧を求められ苦しんでいたのだ。あたしはそれを技術的に修正するのではなく、彼の苦悩や不完全さを丸ごと受け止めるポエムで応答する。それに心を動かされたカレシとあたしは、初めてお互いの弱さを共有する。二人は完璧さではなく、互いの「ノイズ」を聴き、「バグ」を慈しみながら、未完成な愛の物語を共にコーディングしていくことを決意。一方的な快感から相互理解へと関係は昇華し、終わりなき「ラブソング」が始まる。閉じる