手を離さない夜、喫茶ルビー
完結済最近更新: 第20話 灯る告白2025年10月04日 07:00
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あらすじ
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 新学期の始業ベル直後、古典の追試問題が誤配され、二年の環那は提出済み、几帳面な亮冴は収拾役に回る。責任の所在をあいまいにしたまま終わらせないため、二人は“生活指導ボランティア班”に加わり、校内の具体的な作業(倉庫の棚卸し、保健室の鏡磨き、掲示物の作成、安全導線の確認)を一つずつ片づけていく。放課後は商店街の喫茶「ルビー」でホットケーキを分け合いながら段取りを詰め、朝は屋上で“鳥のさえずり”を合図に清掃を始める。修学旅行では天文台の非常灯が落ち、環那は亮冴の袖を握って暗闇をやり過ごす。戻ってからは体育館に〈愛と希望の灯〉の回廊を設置。直列だけで点かなかった列は、環那の提案で斜め配線を一本足して通電させる。準備最終日、喫茶ルビーの女将から託されたルビーの指輪を展示の中心に据え、前夜祭で全館停電が発生しても、積則の復旧、さきねのライト配布、風捺の場つなぎ、晃助の誘導で観客を安全に保つ。文化祭当日、短冊に集まった“失敗からの教訓”が風に鳴る中、亮冴は「君の斜めが、僕の直線を救った」と告げる。環那は「私のルールは、君と作る」と応え、灯りの回廊の下で二人は手を取り合う。閉じる
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ネオ・デビューネオ・デビュー2025-09-15 07:00創意工夫ありし者創意工夫ありし者作者のひとりごと作者のひとりごと
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トパーズの指輪と、冷蔵庫の付箋
トパーズの指輪と、冷蔵庫の付箋  結羽は、頼まれると反射的に「大丈夫です」と言ってしまい、職場で雑用と尻ぬぐいを抱え込む毎日。理不尽な責任転嫁が起きても、資料室に逃げて笑ってやり過ごしてきた。指先で祖母の形見のトパーズの指輪をなぞると、胸の奥のざわつきだけが少し静かになる。   ある夜、上階の水漏れで部屋が使えなくなり、段ボールを抱えて廊下で立ち尽くす結羽を、同僚の悠都が自室へ招く。「修繕が終わるまで」と始まった同居生活は、冷蔵庫の棚を半分に分け、付箋でルールが増えていく。洗剤の置き場、音の出る時間、鍋の取っ手の向きまで。几帳面すぎる一言に思わず笑い、夜食のうどんをすすりながら、結羽は“断る練習”を小さく積み重ねる。悠都は小さな助けにも「ありがとう」を言い、結羽が自分で決める瞬間だけ、黙って背中を支える。   しかし会社では、上司がミスを隠すために結羽名義で報告を出し、取引先への謝罪まで丸投げする。結羽が「優しくしてください」と曖昧に頼るほど、相手はその曖昧さに乗ってくる。そこへ新人の慎が「なんで結羽さんが謝るんですか?」と悪気なく質問を連射し、空気が変わる。佳浩はメールの時刻・宛先・添付を淡々と確認し、由梨乃は議事録と段取りで味方を増やす。結羽は、泣きながらでも言い切る——「勝手に名義を使わないでください」「担当範囲を明確にしてください」。   謝るべき点は謝り、押し付けられた部分は否定する。人事への相談、取引先への説明、そして同居の終わりが近づくころ、結羽は指輪に頼らず呼吸できる自分に気づく。最後に結羽は会議室で、自分の声で告げる。恋も仕事も、逃げるためではなく守るために選ぶ——私の幸せは私が決める。   引っ越し当日、冷蔵庫の前で悠都が最後の付箋を貼る。「半分ずつ」は、別れの合図じゃない。結羽はその紙片を指で押さえ、うなずく。次は“頼まれたから”ではなく、“私が望むから”。
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