手を離さない夜、喫茶ルビー
完結済最近更新: 第4話 初恋の鏡合わせ2025年09月18日 07:00
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 新学期の始業ベル直後、古典の追試問題が誤配され、二年の環那は提出済み、几帳面な亮冴は収拾役に回る。責任の所在をあいまいにしたまま終わらせないため、二人は“生活指導ボランティア班”に加わり、校内の具体的な作業(倉庫の棚卸し、保健室の鏡磨き、掲示物の作成、安全導線の確認)を一つずつ片づけていく。放課後は商店街の喫茶「ルビー」でホットケーキを分け合いながら段取りを詰め、朝は屋上で“鳥のさえずり”を合図に清掃を始める。修学旅行では天文台の非常灯が落ち、環那は亮冴の袖を握って暗闇をやり過ごす。戻ってからは体育館に〈愛と希望の灯〉の回廊を設置。直列だけで点かなかった列は、環那の提案で斜め配線を一本足して通電させる。準備最終日、喫茶ルビーの女将から託されたルビーの指輪を展示の中心に据え、前夜祭で全館停電が発生しても、積則の復旧、さきねのライト配布、風捺の場つなぎ、晃助の誘導で観客を安全に保つ。文化祭当日、短冊に集まった“失敗からの教訓”が風に鳴る中、亮冴は「君の斜めが、僕の直線を救った」と告げる。環那は「私のルールは、君と作る」と応え、灯りの回廊の下で二人は手を取り合う。閉じる
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ネオ・デビューネオ・デビュー2025-09-15 07:00創意工夫ありし者創意工夫ありし者作者のひとりごと作者のひとりごと
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虹と論理のフェランディア行
虹と論理のフェランディア行 2025年7月24日18時、東京・高輪区立図書館の地下書庫。論理重視の大学院生・晃が開いた七世紀写本から虹色の渦が噴出し、彼と仲間の彩夏、純也、佳那、優太、明日美、さらに英国の翻訳家エマーソンと編集者ジョーダンの計八名は、砂漠の王国フェランディア城門前へ転移した。帰る術も資源もない彼らは、生き延びる手段と帰還条件を同時に探ると決め、王都で得た手がかり「五つの煌めき」を追う旅に出発する。結晶は各都市の要人が独占を狙い、内乱寸前の火種となっていた。晃は論理で交渉を組み立てるが決断が遅く、彩夏は危険な場でも率直に意見を述べ信頼を築く。自由人の純也は公会議で声を震わせながらも真実を歌い、革新好きの佳那は未知の魔道具を試行。数字を信じる優太は交易記録から最短経路を算出し、整理上手の明日美は拠点を守る。抽象思考に長けたエマーソンは神話を読み解き、感謝を忘れないジョーダンが士気を支えた。 旅程は水上都市ルルイエの幻灯祭、炎都ガルドの停戦交渉、氷壁の湖に映る星読み、南海の渦潮と続き、各地で八人は己の弱点と向き合う。晃は「遅い」と非難されながらも、最終的に敵対勢力の利害を整理し説得材料を提示する力を磨く。彩夏は語学の壁を越えて民衆の不安を聞き取り、真摯な言葉で橋を架ける。純也は本番に弱い自分を認め、震える声であっても心を込めれば届くと知る。佳那は失敗を恐れず新技術を試し、破壊ではなく創造に活かす道を示す。優太は数字の裏に潜む人の感情を学び、明日美は物資整理を通じて仲間の心の乱れにも気付く。エマーソンは神話と現実を重ねて抽象概念を語り、ジョーダンは毎晩の食卓で感謝の言葉を贈り続け、絆を強めた。 五つの結晶が揃った瞬間、王都は権力争いで炎に包まれる。決断を重ねた晃は、彩夏が告げた「残りたい」という願いを受け止め、門をくぐらず踏みとどまる。東京の夜景とフェランディアの星空が重なった刹那、二世界を繋ぐ恒常門の可能性が生まれた。勝者も敗者もいない未来を築くため、八人は新たな一歩を踏み出す。理屈と勇気、データと歌、そして感謝が織り成す──それは読む者の心にも虹の橋を架ける。 読後、あなたもきっと誰かに「ありがとう」と伝えたくなる。
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