『月に一度のカフェ』
連載中最近更新:第4話:夜明け前の約束2025年10月27日 13:00
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あらすじ
詳細
とある港町の片隅に、「カフェ・ルミナ」と呼ばれる小さな店がある。 店は月に一度の満月の夜だけ開かれ、翌朝にはまた閉じてしまう。 常連も看板もなく、偶然のようにそこへ辿り着いた人だけが入れるという噂がある。 主人公・**佐伯紗耶(さえき さや)**は、会社を辞めたばかりの28歳。 心に引っかかる“過去の後悔”を抱えたまま、偶然この店に入る。 そこで出会ったマスター・**久遠(くおん)**は、どこか人間離れした静けさを持つ人物。 客たちは、それぞれの「やり残した言葉」や「伝えられなかった思い」をカップに映し出すように語る。 カフェで交わされる5回の会話を通じて、紗耶は過去と向き合い、再び歩き出す。閉じる
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ネオ・デビューネオ・デビュー2025-10-24 13:00創意工夫ありし者創意工夫ありし者作者のひとりごと作者のひとりごと
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『風の背を追って』
『風の背を追って』 定年を迎えた元教師・佐伯祐一は、半年ほど前に最愛の妻・千景を失った。  家には妻の声の残響だけが漂い、カーテンの隙間から吹く風が、その不在を痛みとして思い出させる。  生きる意味を見いだせなくなった祐一は、ある朝、ふとカメラを手に取り、海辺の町へと向かう。  行き先も目的もない。ただ、風の吹く方へ歩こうと思った。  その道の途中で、一匹の犬が彼のあとをついてくる。  白と茶の毛並みをもつ雑種犬――どこかの飼い犬のようで、けれど首輪もない。  追い払っても、少し離れたところでただ見守るように座っている。  その眼差しに、祐一は次第に亡き妻の面影を重ねていく。  犬と旅を続けるうちに、祐一は忘れていた景色と向き合う。  かつて妻と訪れた町、写真館に残された一枚のネガ、風の道と呼ばれた並木道――  それらはまるで、妻が置いていった“心の地図”のようだった。  やがて祐一は気づく。  この旅は、過去を探すためではなく、もう一度“いま”を生きるための道行きだったのだと。  犬はやがて彼の前から姿を消す。  しかし祐一の中には、確かにあの温もりと、風の匂いが残っていた。  ――風は見えない。  けれど、それが吹くたびに、人は前を向くことができる。  『風の背を追って』は、  “喪失の痛みを抱えながらも、静かに歩き出す勇気”を描いた、  一人と一匹の小さな再生の物語である。
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