あらすじ
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桜井美月は、北条悠真に十年間片想いしてきた。 十年前、桜の木の下。 彼が散らばった彼女の絵筆を拾ってくれたあの日、彼女は一目で恋に落ちた。 この十年で、彼の「知らない」という言葉を三度聞いた。 一度目は大学卒業の日。 告白しようとしたその瞬間、彼が友人にこう言うのを耳にした。 「桜井美月? 知らないな。」 二度目は銀座のレストラン。 見合い相手に侮辱されていた彼女を、彼が偶然助けてくれた。 だが元婚約者に「こちらは?」と聞かれると、彼は淡々と答えた。 「知らない。たまたま居合わせただけだ。」 三度目は――なかった。 雨の夜、彼の車が彼女の前に止まったからだ。 「乗って。ひまわりの君。二年前、僕に傘を貸してくれただろう?」 彼はすべて覚えていた。 彼女がパクチーを食べられないことも、ふとしたときの表情も、十年前、桜の木の下に立っていた姿も。 ただ、あの頃の婚約が、彼を彼女に近づけなかった。 「ごめん。鎖を断ち切るのに十年かかった。……今、君を追いかけてもいい?」 十年の片想いの果てに、彼はついに言った。 「桜井美月、僕と結婚してください。」 彼は彼女のすべてを覚えていた。 抱きしめるその一瞬のために、十年を費やして。閉じる
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ネオ・デビューネオ・デビュー2026-02-24 17:21創意工夫ありし者創意工夫ありし者作者のひとりごと作者のひとりごと
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