あらすじ
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結婚七年目の誕生日。 白石澪が待っていたのは、夫・神谷慎司からの祝いの言葉でも、二人だけの時間でもなかった。 届いたのは、一本の電話だった。 「誕生日おめでとう。それと……佐伯に謝ってくれ」 佐伯葵は、神谷慎司の女性秘書だった。 彼女はただ、仕事のできる部下だった。 慎司の体調管理を気遣い、胃に優しい飲み物を用意する。 入社祝いに贈ったスーツを大切に着て、教えられたことを一つずつ吸収する。 彼女は努力家で、素直で、仕事熱心だった。 慎司はそんな彼女を評価していた。 「葵は金目当てじゃない」 「ただ、一生懸命なだけだ」 その言葉を聞くたびに、澪の心には小さな傷が積み重なっていった。 彼は浮気なんてしていない。 葵を恋愛対象として見ているわけでもない。 ただ――。 妻がどう感じるのかを、考えようとしなかった。 ついに澪が、距離を越え始めた秘書を辞めさせた時。 慎司は葵を責めることもなく、澪に理解を求めた。 「君なら分かってくれると思っていた」 そして彼は、澪が謝るまで少し距離を置くことを選んだ。 その瞬間。 澪はようやく気づいた。 自分は愛されていないわけではない。 けれど、愛されているからといって、大切にされているとは限らないのだと。 澪は謝らなかった。 七年目の誕生日。 彼女は静かに離婚を告げ、家を出た。 それから後。 妻を失ったことで初めて、慎司は理解する。 自分が守るべきだったのは、「何もしていない」という証明ではなく、傷ついた妻の気持ちだったのだと。 そして澪はもう、誰かと比べられる人生を選ばない。 自分を一番に考え、惜しみなく愛してくれる男の隣へ歩き出す。 閉じる
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創意工夫ありし者創意工夫ありし者2026-07-21 09:14ネオ・デビューネオ・デビュー2026-07-17 10:21作者のひとりごと作者のひとりごと
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仕事のために健康診断書と帳簿を持ち込んだ私――三ヶ月後、雇い主一家に「御曹司の彼女」だと思われていたことが発覚しました
仕事のために健康診断書と帳簿を持ち込んだ私――三ヶ月後、雇い主一家に「御曹司の彼女」だと思われていたことが発覚しました水野鮎、東京農大卒。 豚熱の影響で経営危機に陥った実家の養豚場を救うため、彼女は月給八十万円の高給住み込みスタッフの仕事を引き受けた。 相手は、気難しい独身御曹司。 そう思った鮎は、健康診断書、栄養士資格、三種類の献立表を用意し、完璧な仕事人として彼の家へ向かった。 彼女が持ち込んだのは、恋愛の準備ではない。 帳簿。 農業金融の資料。 養豚場改善の計画書。 仕事をするためのものだけだった。 鮎は真面目に家計簿を管理し、ネジ一本まで購入明細に記録した。 雇い主と同じ食卓につくこともなく、決められた距離を守った。 仕事内容が変わる可能性まで考え、子供の世話や高齢者介護の研修計画まで準備していた。 すべては、ただ仕事のため。 ――のはずだった。 三ヶ月後。 実家の母豚の出産に立ち会うため、鮎が辞職を告げた時。 彼女を引き止めたのは、雇い主本人ではなく、彼の友人たちだった。 「最上階の籠の鳥が逃げちゃうの?」 鮎は首を傾げる。 籠の鳥? 彼女のスーツケースの中に入っているのは、恋人との思い出ではない。 『畜産経営』 『農業金融』 そして、完成途中の養豚場改善資料。 その瞬間、彼女は初めて気づいた。 神谷光孝の周囲にいる全員が、自分を彼の期間限定の恋人だと思っていたことに。 そして――。 その事実を、本人だけが三ヶ月間何も知らなかった。
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