あらすじ
詳細
白川葵が人生で一番愚かな選択をしたのは、二十三歳の時だった。 西園寺誠の前に飛び出し、彼の代わりに刃を受けたあの日。 右下腹部を斜めに切り裂いた傷は、彼女の子宮を傷つけた。 一ヶ月間、病院のベッドで過ごした彼女が手に入れたものは、一本の銀のネックレスと、たった一言。 「一生、俺が君を守る」 その言葉を、彼女は信じた。 七年間。 彼のために家を守り、家族との付き合いをこなし、義母の冷たい視線にも耐えた。 彼が連れてきた女性の前でさえ、妻としての笑顔を崩さなかった。 ――自分が妊娠したと知るまでは。 彼は病院にも付き添わなかった。 彼女は一人で手術台に横になり、三つ数えたところで意識を失った。 手術の翌日、退院した葵が家の扉を開けた瞬間。 そこにあったのは、夫とあの女がソファで抱き合う姿だった。 思わず吐き気が込み上げる。 すると誠は顔を上げ、冷たく言った。 「もうすぐ三十だろ。俺から離れて、お前を欲しがる男なんていると思うか?」 その後、葵は身に覚えのない罪を着せられ、倉庫に閉じ込められた。 あの女は外から灯油をまき、火をつけた。 炎がすべてを飲み込む中、葵は思った。 ――私の人生は、ここで終わるんだ。 けれど、彼女は死ななかった。 誰かが炎の中から彼女を救い出した。 そして彼女に、新しい名前と、新しい人生を与えた。 五年後。 彼女は国家表彰式の壇上に立っていた。 その姿は新聞の一面を飾った。 数百キロ離れた拘置所で、かつて自分のために彼女を傷つけた男は、新聞に映る彼女の笑顔を指先でそっとなぞっていた。 そして静かに目を閉じる。 二度と、開くことはなかった。閉じる
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創意工夫ありし者創意工夫ありし者2026-07-17 18:26ネオ・デビューネオ・デビュー2026-07-17 18:26作者のひとりごと作者のひとりごと
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