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苦しかった彼が泣きながら抱きしめた――「半分の飴が、俺の人生の始まり」
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プレミアム
苦しかった彼が泣きながら抱きしめた――「半分の飴が、俺の人生の始まり」
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最近更新:第10話 扉の外の影
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2026年09月02日 19:22
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あらすじ
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早川小春には、誰にも知られてはいけない特殊な体質があった。 善人からは石鹸のような清らかな香りがする。 悪人からは、腐ったような嫌な臭いがする。 けれど、常磐家の現当主・常磐厄だけは違った。 彼の全身から漂っていたのは――苦しさそのものだった。 あの夜のパーティー。 小春は彼の手に金平糖を半分だけ握らせた。 それから三日後。 早川商会へ一通の婚約書が届いた。 父が署名する手は震え、ペン先は紙を破るほど強く押しつけられていた。 --- 常磐家の本邸へ入って初めて、小春は自分の立場を知った。 末席。 入り口に最も近い場所。 主座から最も遠く離れた席。 この家で、彼女はその程度の存在だった。 茶会の席で邦子は微笑みながら尋ねる。 「あなたのお母様、お元気かしら?」 廊下では黒瀧佑礼が彼女を見下ろしながら言った。 「君の父親が署名したもの、本当に読んだのか?」 --- 北棟にある使われなくなった和室。 その床下の隠し場所から、古い病歴を見つけた時。 小春の指先は冷たくなった。 そこに書かれていた一文。 「七歳男児」 「母親からもらった菓子を食べたと本人が証言。胃洗浄処置」 --- あの男は。 二十七年間、自分自身を闇の中に閉じ込めて生きてきた。 そしてこの屋敷の人間たちは今また、同じ手で彼を押し戻そうとしている。 小春にあるのは、たった一粒の金平糖だけだった。 彼女は、それを半分に割った。
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