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夫が家政婦の娘と浮気し、私を追い出した後で気づいた――私が本当に愛していたのは兄ではなく、ずっと彼自身だった
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夫が家政婦の娘と浮気し、私を追い出した後で気づいた――私が本当に愛していたのは兄ではなく、ずっと彼自身だった
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現代恋愛
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最近更新:第10話 離婚の困難
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2026年09月09日 19:20
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結婚式の日。 婚約者は、家政婦の娘と一緒に逃げた。 そして彼の弟が、兄の代わりに私と結婚することになった。 その夜。 彼は、ベランダで泣いている彼女を見つけ、冷たく笑った。 「俺と結婚するのが、そんなに悲しいのか?」 五年間の結婚生活。 彼は毎週違う女性を家へ連れてきた。 一番長く続いた相手でさえ、四ヶ月だった。 火災が起きたあの日。 彼はその女性を抱きかかえて、迷わず外へ逃げた。 彼女は濃い煙の中に倒れたまま、遠ざかっていく彼の背中を見つめていた。 彼女は離婚届に署名した。 けれど彼は、それを破り捨てた。 彼女が片道切符を買った日。 彼が電話をかけると、番号はすでに使われていなかった。 その後。 彼は彼女のアトリエの隅で、一冊の日記を見つけた。 最初のページに書かれていた名前は―― 彼自身の名前だった。 十六歳のあの日から。 彼女がずっと愛していた相手は、最初から彼だった。 彼は床に跪いたまま、その日記を最後まで読み終えた。 五年間の苦しみ。 三十七人の女性。 あの火災。 そのすべては、たった一つの間違った思い込みの上に成り立っていた。 彼は必死に説明しようとした。 彼女を取り戻そうとした。 けれど、もう遅かった。 彼女はニューヨークのアトリエで、母親の姓を名乗った新しい名前にサインをしていた。 ――彼女が去る時、振り返ることはなかった。 彼だけが、あの梅雨の季節に取り残された。
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二人の婚約者を同じように大切にしていた私――愛する彼に裏切られた日、私は彼の兄と結婚することを選びました
夕夏には、二人の婚約者がいた。 母は最期の時、彼女にこう言った。 「二人に同じだけ優しくしてあげて」 「どちらか一人を贔屓してはいけないよ」 だから夕夏は毎年、二つの最中を作った。 二枚のマフラーを編んだ。 重さも、込めた想いも、少しも違わないように。 一人は、受け取った瞬間にその場でマフラーを身につけた。 「暖かいな」 「……また手がひび割れてるんじゃないか?」 もう一人は、人前で包みを開けながら言った。 「去年のやつなら沙耶にあげたよ」 「あいつ、色がスーパーで売ってるみたいだって言ってた」 一人は、夕夏が何気なく呟いた「梅の花を撮りに行きたい」という言葉を、一年間ずっと覚えていた。 もう一人は、友人たちにこう話していた。 「誰があいつを好きになるんだよ」 「所詮、商売人の娘だろ」 「神崎家の前じゃ、あいつの店の売上なんて何の価値もない」 夕夏は思っていた。 きっと彼は、口では冷たくても本当は優しい人なのだと。 けれど。 海辺で偶然聞いてしまった。 彼の本当の言葉を。 「機嫌を取ってるだけだよ」 「喜ばせておけば、大人しく菓子を作って、マフラーでも編んでくれるからな」 その瞬間。 十年間、二人分作り続けてきたものが、すべて無意味だったと知った。 今年、栗が不作になった。 作れるのは、一つだけ。 もう二人に同じだけ与えることはできない。 だから夕夏は選ばなければならなかった。 自分のすべての優しさを、たった一人へ捧げる相手を。 そして彼女が選んだのは―― 彼ではなかった。 --- 後日。 彼は十時庵の前に跪いた。 谷中商店街を行き交う人々の視線も気にせず、夕夏へ手を伸ばす。 「俺が間違っていた」 「兄貴にできることなら、俺にも全部できる」 「だから戻ってきてくれ」 夕夏は暖簾の内側に立ち、薄い布越しに彼を見つめた。 そして静かに言った。 「あなたは、私があげたものを当たり前だと思っていた」 「私が絶対に離れないと思っていた」 「でも、ごめんなさい」 「私はもう、行くね」 暖簾がゆっくりと下りる。 彼の視界から、最後に残った彼女の姿を隠した。 夕夏が選んだその人は―― 最初から一度も、彼女を待たせることなどなかった。
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