あらすじ
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汐里が留学から帰国した時。 幼い頃から一緒に育った幼なじみは、すでに若き社長となり、自分の身代わり女性と熱愛中だった。 二人の恋愛はネット中で話題になり、誰もが「お似合いのカップル」と盛り上がっていた。 そんなある日、彼の母親が汐里の前に現れた。 「一千万円で、もう一度息子のそばに戻ってちょうだい」 汐里は丁寧に断った。 「おば様、ご存じですよね」 「立派な元恋人というものは、死んだと思われるくらいがちょうどいいんです」 まさか、彼の母親が次の瞬間、覚悟を決めたように言うなんて思わなかった。 「一億円なら?」 「……問題ありません。ご期待以上の働きをします!」 年月が経てば物価だって上がる。 あの頃は一千万円で汐里を海外へ追い出して息子から離したくせに、今さら戻ってきてほしいからって昔と同じ金額で済ませようなんて。 そんな話、あるわけがない。 帰国後。 聖司は知らないふりをした。 恋人の摩耶は目の前で微笑みながら挑発する。 「私たち、本当に似てるよね」 高校時代。 九条聖司は毎日、桐生汐里の机の中へ薔薇の香りがするラブレターを入れていた。 年月が過ぎ。 汐里は一流のジュエリーデザイナーになった。 彼女の代表作「薔薇詩」の原点は、あの頃受け取った何通もの手紙だった。 けれど、帰国後に舞い込んだ最初の仕事は、まさか九条望司からの依頼だった。 彼は汐里に、自分の身代わり恋人のための交際記念ジュエリーをデザインしてほしいと言った。 「『薔薇詩』をテーマにしてくれ」 彼は知らなかった。 その作品に込められた想いが―― 本当は、彼自身へ贈られたものだったことを。 そして今、彼はその薔薇の詩を、新しい恋人へ渡そうとしていた。閉じる
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創意工夫ありし者創意工夫ありし者2026-09-22 18:49ネオ・デビューネオ・デビュー2026-09-22 18:48作者のひとりごと作者のひとりごと
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元夫が妊娠した愛人を家に連れ込んだ日、私は十年間私を想い続けた忠犬系の彼と結婚しました有栖月と九条徹真は、長い年月をかけて愛し合ってきた。 ――少なくとも、月はそう信じていた。 九条徹真は、若い女性を連れて帰るたび、ついでのように月のためにも“相手”を用意した。 「俺には新鮮さが必要だ。君には寂しさを埋める相手が必要だろ」 「お互いに都合がいい。誰も誰かを責める必要はない」 そう言って、すべてを正当化していた。 けれど最後の一度だけは、彼の一線を越えた。 徹真はまた一人の若い大学生を連れてきた。 そして穏やかな声で、まるで相談でもするように言った。 「避妊していたのに、妊娠した」 「沙耶は子どもを産むなら、俺との関係を正式なものにしてほしいと言っている」 「だから、しばらく離婚しよう」 「復縁するまでの間、君も彼と仲良くすればいい。俺は止めない」 しかし裏では、周囲の人間が彼に問いかけていた。 「徹真、それはお前が何日も家の前で跪いて、やっと手に入れた妻だろ?」 「本当に他の男へ渡すつもりなのか?」 「しかも、あの大学生に“奥さんには手を出すな”と一言も言わなかったのか?」 九条徹真は、ただ静かに煙草を燻らせながら答えた。 「俺は別に、寝取られることが好きなわけじゃない」 「それに、お前たちも知っているだろ」 「月には精神的な潔癖がある。あいつがあの男たちに触れることはない」 「さすが徹真だな――」 「男を家まで連れてきたのは事実。でも、月が自分から拒むなら、それは彼女自身の問題だ。お前の責任じゃない」 「本当に大したものだよ」 誰もが思っていた。 今回もきっと、これまでと同じ。 月は若くて見た目のいい男に慰謝料を渡し、静かに追い払うのだと。 けれど―― 月はゆっくり顔を上げた。 そして、微笑んだ。 「いいよ」 「あなたの言う通りにする」 その瞬間、誰も知らなかった。 彼女が初めて、この結婚のルールを自分の手で変えようとしていることを。
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