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竜の声が聞こえるのは、竜なしの私だけでした
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竜の声が聞こえるのは、竜なしの私だけでした
異世界恋愛
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ロマファン
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最近更新:第8話 玉座の前で
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2026年10月23日 21:35
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竜騎士の名門ローゼンハイム伯爵家の次女エルナには、幼いころから竜の声が言葉として聞こえていた。だが、そのことを話すたびに「竜語りの嘘つき」と笑われ、十六歳の契約の儀ではどの卵も孵らなかった。「竜なし」の烙印を押された彼女は、父の命で騎士団の竜舎に送られ、掃除係として二年間働いてきた。天才竜騎士の姉ヴィオラには見下され、父からは老商人の後妻になれと命じられていた。 ある夜、エルナは王家の守護竜・白竜シルヴァの泣き声を聞く。半年前から気が荒くなったと恐れられていた白竜は、肩に打ちこまれた黒い楔の痛みに苦しんでいたのだ。そのことを訴えても、耳を傾けたのは冷徹と噂される竜騎士団長カイルだけだった。 五十年ぶりに白竜の騎士を選ぶ選定の儀の日。姉が禁じられた竜縛りの術を使ったことで白竜は暴走し、宰相ヘルマンは竜殺しの矢を放てと命じる。エルナは広場に飛びこみ、竜の言葉で呪いをほどいて楔を抜く。白竜は彼女を騎士に選び、その手に契約の紋章が浮かびあがった。 しかし宰相は、エルナが禁術で契約を盗んだと告発する。父は保身のために娘を勘当し、姉は彼女を責めた。審問の場でエルナの力を証明したのは、黒竜ノクスを通して秘密を言い当てられたカイルの証言と、国王が自らの騎竜に託した、誰も知らないはずの即位前夜の記憶だった。嫌疑は晴れ、エルナは伝説の「竜語り」として白竜の騎士に迎えられる。手のひらを返した父に、彼女は勘当の書状を返さず、自分の居場所は自分で決めると告げた。 だが、白竜を眠らせ楔を打ったのは、竜の言葉で子守唄を歌える何者かだった。審問の後、エルナはその歌を城の中で耳にする。竜の声を聞けるのは、自分だけではなかったのだ。 エルナはカイルとともに、王城に潜む犯人と楔の謎を追いはじめる。二人のあいだには、まだ名前のない想いも芽生えはじめていた。竜たちの声を頼りに、陰謀に立ち向かう竜語りの物語が、いま幕を開ける。
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代筆令嬢は、あなたの恋文を書いていました
没落した子爵家の娘クラリス・ベルネは、父の死後、伯母のデュヴァル侯爵家に引き取られた。だが与えられたのは屋根裏部屋と使用人同然の暮らしで、伯母からは「ベルネの娘」と呼ばれ、名を呼ばれることすらない。唯一の取り柄は、宮廷書記官だった父に習った美しい字だった。 三年前から、クラリスは従姉イザベラの代わりに、国境の砦を守る王太子レオンハルトへ恋文を書き続けていた。署名は「L」。青い星や折れ耳の犬の話を綴る殿下の返事に、いつしか彼女は恋をしていた。百通の手紙の封蝋の下には、誰にも見えない勿忘草の絵を描き続けた。 王都へ戻った王太子は、手紙の真心を理由にイザベラを妃に選ぶ。だが手紙を一通も読んでいないイザベラは、殿下の話にまったく答えられない。舞踏会の露台で、クラリスが殿下と言葉を交わしたことに気づいたイザベラは、彼女に首飾り盗みの濡れ衣を着せ、雨の夜に屋敷から追い出す。三年分の手紙の下書きも、すべて暖炉に投げ込まれた。 行き倒れたクラリスを拾ったのは、下町の代筆屋の老人ギデオンだった。父のかつての同僚だった彼のもとで、クラリスは字の読めない人々の手紙を書き始め、「書いた人の声が聞こえる」と評判になる。そこへ現れた頭巾の客こそ、封蝋の下の勿忘草に気づき、本当の書き手を探していたレオンハルトだった。 婚約披露の宴で、クラリスは殿下とともに、かつて自分を嘲った貴族たちの前に立つ。百通の手紙の封蝋が溶かされ、すべてに勿忘草が現れる。イザベラは手紙に書かれた青い星や灯台守の話を問われて答えに窮し、首飾りを隠した侍女の証言で濡れ衣も晴れる。ギデオンの持ち込んだ記録によって、借金を残して死んだと蔑まれてきた父の名誉も取り戻された。 父と同じ王宮書記官に迎えられたクラリスに、殿下はあらためて求婚する。彼女はその返事を、初めて自分の名で手紙に書いた。封蝋の下には、もう隠す必要のない勿忘草を添えて。
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