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第8話

「う、動くな!」

頭の後ろには小さな筒のような気配がしている、銃口だ。僕は振り返らずゆっくりと腕を上げる。完全にしてやられた・・・詰んだわ。僕はゆっくりと振り向いてその向けている顔とその銃を見る。ヤバかったらまああきらめようと思ってある意味それにかけた。

ほら?あの・・・僕ってあの場所から逃げてきたけど確かに星の信者とかの崇められる教祖だからさ?

しかし現実はさほど俺TUEEEEE系のよくある小説よりも甘くなく、むしろ赤色のリトマス試験紙が青くなるほど苦い物が目の前にやって来た。何も目を動かさず、そして持っているライフルすらも震えていない。まさかの多分熟練し切ったような者で、そしてローブを顔ごとフードで覆っており、その狭間から見える目は完全にこちらを向いており、そしてハイライトの無い黒だった。腕が銃を構えている事でその下のローブが吊りあがっており、そこには弾倉が三つすっぽり入っており、それは上で二本のロープによって固定されていた。

こんな時、どうすればいいのだろう?僕はそんな疑問が生まれた。なぜなら多分指一つでも動いたら簡単に撃って来る。しかもこっちの顔なんて全く知らない。いや知ってるか、だからまあこうやって自分の世界の武器を逆に向けられているわけだが。

そんなこんなで詰んだ状況になってしまった。何とか考えろ~・・・!何か状況を打開できる策は・・・

~~~~

ここで自分の刀を引き抜こうとする。しかし気づかれてしまったのかその目の前にいる奴にそれを掴まれてしまった。しかし、その照準は片手で持ったまま変わっていなかった。そのおかげで僕は・・・

バババババババっ!

目の前が血で赤く染められる。そして文字が浮き出て『GAME OVER』とまで行くところだったが、そこまでは作っていなかったのでまたあの黒いアレの中に入り込む。

~~~~

今度は自分の刀では無く、その目の前の銃を掴む。映画とかアニメの話でよくあるのは、銃のなんかこう・・・動く部分を手で押さえて撃たせないようにすると言った小技なんだけど、まあ通用すrドドドドォン!

GAME OVER 

ですよね~。だって他の人たちピストルでやってるもん。今向けられてるのライフルだもん。

~~~~

あ~だめだ!どれも効かないパターンだこれ!負けイベントだ負けイベント!いや~どうしよう・・・なんかこう・・・コナミの某段ボールに隠れるゲームのあの・・・そうだ!あのビッグボスのセリフだ!

僕はなんとか勇気を振り絞って、その某ビッグボスの恒例の名言を言う。

前原「セ、セーフティがかかってるぞ新米(ルーキー)!」

言っちゃった~・・・そんな思いが頬を赤く染める。まじでこのセリフを言うのはどこか僕にとっては場違いすぎて恥ずかしいのだ。だってこういうのは大体熟練してる奴が言うんだけどこんな僕なんか全然当てはまってないからね?むしろセーフティをかけているルーキーの方だからね?

「新米(ルーキー)だと?俺はこの道10年のベテランだ!」

ハイ予想通りのレスポンドいただきました~!ありがとうございますよいしょ~!そしてそして・・・いや10年もそんなクソ教団に入ってたのかよ。

彼はそのお決まりのテンプレートなる政府のあと銃の右側にある安全装置にちらりと目をやる。そう、彼は僕の指摘と言うより、もはや囮に近い何かに引っかかるように、まるで待ってましたかと言わんばかりに彼はそうやっていた。僕はその目を離した瞬間、すべてを仕掛ける。まず顔に右手で拳を打ち込み、そして膝で鳩尾にアタック。その時そいつはトリガーを握っていたもんだからそのおかげで一発ボンと銃声を響かせる。だがしかしそれは二度もない。俺が腕とそのローブを掴んで地面に投げたからだ。

僕はすぐさま自分の刀を抜くことはせず、その倒れた時に手から離れた銃を手に取る。されど日本生まれ、この方銃を撃ったどころか何もそんな紛争に巻き込まれたことも無い。だけどまあアニメの力で何とか予習をしている感じだ。

前原「ズブな素人だとは思いもよらなかったよ・・・ABS553によろしくって伝えておいてくれ。地獄でな!」

僕はそんな捨て台詞を吐いて、そのM4A1を構え、引き金に指を引いて

ダァン!ダァン!

まあこの距離なら当然当たるはずだという事と、そして愛と勇気と真心と敬意をこめて、そいつの頭に二発、釘のように打ち込んでおいた。

~~~~~

土埃の中、凌雨華は一人奮戦する。自分の固い槍をゴムのようにビロビロとぐにゃらせて、そのチート級の武器を何個も持っている星の信者相手に打撃で打ち勝っている。しかし、彼女はそれだけではなく各々が持っていたチート級の武器を己の技術と研鑽を賭して完全に使えないよう破壊していった。

凌雨華「“ジュウセイ”という武器がなければ!ただの生身の人間と変わらない!誰でも同じものよ!」

彼女はまるで敵の弱点を見つけたかのように、その土埃の中に入っていく人間、いや魔族をも含んだ星の信者共を簡単になぎ倒していった。中でもオーク、ひときわ大きくて彼女の身長の二倍ほどあるその魔物が目の前にやって来ると彼女はゆっくりと入って来る。彼女はフゥフゥと息を整えて、そしてその魔法道具が向けられた瞬間、

「死にさらせぇ!!!」

オークの唸る声、おそらく魔法を発動するための呪文が発されたその瞬間を狙って、すぐさまその大きなオークの足元に向かって瞬間移動ともいえるほどの速さで向かい、その攻撃を回避するとともに二つの腱に二突き。そのおかげで体勢が後ろに倒れ込んだ。彼女が巻き込まれることは無く、そしてその“ジュウセイ”が彼女に牙を向くことも無かった。

そして倒れた膝の裏に上がり、そして背中に上がる勢いで簡単に空を飛んでいた。まるで落下ダメージでその槍自体に力がかかって一発でやれるように、彼女は槍を下に向ける。その槍の先は

ザシュッ!

心臓であった。そして丁度都合よく土埃も晴れてその周りの様子が前原悟の目に見える。

その彼女の周りには散乱した武器の破片と、そしてそれを持っていた信者達が周りで死んで、そして彼女はその死んだ中でもひときわ図体が大きいオークの上に居た。

前原「えぇ・・・?」

生きてるの半端ないって。大迫・・・じゃなく凌雨華半端ないって!あいつ半端ないって!異世界級のチート武器持った奴ら全員蹴散らすもん。そんなん出来ひんやん普通!そんなん出来る?普通こっち側が助けに来て命を救って恋に落ちそうな展開やん!言っといてやできるんやったら。

そんな彼女は凛々しかった。むしろこっちが恋に落ちるほどに。

凌雨華「ねぇマエハラ。早く行くよ。それと私馬が無くなったから乗せてもらうね」

そんな彼女は流れで降りて、そして他人の馬にずけずけと乗る。一見その落ちた恋が戻ってきたような感じがしていたが、そのまま勝手に馬に乗って行ってしまったために僕の恋は完全に実家へと帰って来た。

凌雨華「ていうか何で“ジュウセイ”を使ってるの?マエハラは“刀”って言う剣があるでしょ。それを使わないと!」

そう言った途端、すぐさまなぜか僕の持っていた銃、まあ見る限りM4A1をすぐに一槍突いてボロボロに破壊した。

前原「え~?なんで~?これ使った方が楽になるじゃん!」

ボヤくものの彼女は全く聞かず、そのまままた手綱を握る。

凌雨華「だってね?あなたにはこれまで私の父さんに鍛え上げられた肉体と最後に渡された剣があるでしょ?だったらそれをちゃんと使わないと。もちろんこの“ジュウセイ”っていう「あ、銃ね?」・・・“銃”っていう武器は便利だよ。だって弓以上に圧倒的な射程があって、しかも弓とは違って軌道がずれることも無い。そして挙句の果てには誰でも、魔族や力の弱い女性や子どもであっても、魔法を一切使わない私であっても簡単に使える。そんな武器がこの大陸に出てきたら完全に剣を極めた人間なんていらなくなる・・・まあある意味私達が生きるためにこの武器を使わないっていう信念を考えたわ。極める事それ即ち至宝となり、辞めることそれ崩壊に近づくって」

そんな彼女はどこか遠く澄ましたような目を見ており、効率主義な彼女とは違って何か彼女とその父親にあたる凌望師範と影が重なっていた。

~~~~~

「絶対にここを破られるな!ここを破られたら我らが魔王の首が吹っ飛ぶぞ!何としてでも死守するんだ!」

急速に配備されたゴブリン、サキュバス、インキュバス、そしてリザードマンやオークの残党がそこで防衛線をフィリップの街以降に張られていた。それは彼らにとっての生存と魔王軍領の存続を賭けた戦いの前兆であった。

「我らが精霊よ!彼らに集まり、その身上に守護の力を宿し給え!」

一人は呪文を唱えて彼らバリアとして、守備力UPのバフを掛け、

「すぐに前線にバリケードを作れ!ついでに槍も忘れるな!」

もう一人はその謎の武器を使っている黒い者達への対策として、鉄壁にするためにその指示を出している。その声に導かれてか、皆槍をバリケードの中から出して近寄れないようにした。上空ではコウモリの群れ、いや分裂したサキュバスとインキュバスが哨戒、いや斥候や偵察のために、その黒い影が何処にいるのかを伝える為に魔王城の周りを飛んでいた。すると、いきなりこちらに飛来してそれは次第に形を作る。

「太陽と逆の方向!真っ直ぐ600ミーテル!」

前原悟の居た世界の言葉に訳すと約600メートル先に敵がいるとそう告げられた。

もうすでに敵は迫っている。そして彼らも万全の準備を進める。全軍ピリついた雰囲気となっていた。すると・・・

パァンッ!

一発の乾いた音が鳴った瞬間に、その目の前で予想だにしないことが起きた。前線を指揮していた指揮官のような存在が、先ほどまで指示を出していた一人が頭に小さな円形を残してその場で倒れた。すぐさま回復魔法の得意なフラワーエルフの女の子が其処に回るものの、もうすでに手遅れ、彼女にとっては即死であった。助かりもしない。するとそれを狙っていたかのようにその夕日とは逆に位置する場所から黒い影に同化した集団が、黒い武器を使って彼らに襲いかかっていた。

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