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第9話

某ホテルの4階にて、前原悟の元パーティ仲間は何かを見つける。

アンナ「ねえ、なんか。マ」ガシャァァァン!

するともう一人の元仲間は皆まで言わずともすでに窓を突き破っていた。

アンナ「嘘~・・・ここ4階だよ?」

そんな驚いているそのエルフは少し彼女にドン引きしながらも、その彼女と同じような方法で降りる。しかし壁を利用してそこに任せるようにしてゆっくりとその後を追った。

「・・・マエハラさんッ!マエハラさんッ!マエハラさんッ!マエハラさんッ!!!」

彼女は息継ぎと言わんばかりにその愛する彼の名前を、ずっと待ち焦がれていたあの人の名前を呼ぶ。すると目の前に星の信者の一人が銃を持ちながらそこに片足だけを中腰にして立っていたが、彼女はそれをも気にせんと言わんばかりに自分の“バラ”と呼ばれる剣を抜いてそいつを完全に真っ二つにする。そして若干血が顔に付着するものの、その血を拭う事すら忘れた怪物となっていた。今やもう彼女は顔中にバラをまき散らした、恋路へ急ぐ血塗られた花嫁であった。

~~~~~

魔王城への道を急ぐ中、その騒乱はもうすでに始まっていた。僕達はいつも出遅れてしまう。目の前では既に撃ちあい、いや一方的な虐殺が目の前にあった。

凌雨華「出番だよ。マエハラの剣の」

僕はそんな彼女が上から指示厨してくるには少しイラつくが、僕は何も言わずに静かにその炎が灯っている、大いなる力を秘めた刀を鞘からなるべく音を立てて抜き、そしてそれを、自分の修行と努力の結晶で偶然手に入れた物を持って、一気に突進した。

前原「天皇陛下、万―歳―!!!」

なぜか突進する時の掛け声で思いつくのがこれしかなかったものの、しかし十分に注意を反らした。後ろにいる者達はこちらを向いて戦列歩兵のように二段に構え始める。そのため目の前の一点突破しかなかった。真ん中に向かって、その圧倒的な兵力、そして兵の質の差を見せつけられながらも僕は進まなければいけない。その引き金が引かれるまで・・・しかしそれは簡単に引けなかった。なぜならこの銃に本能で彼は怯えるわけでもなかった。そして星の信者達も目の前に突っ込んで来る闘争反応がおかしいヤツ(教祖)に翻弄され、引き金を引ける状態ではなかった。恐らく遠くの的にばっかり銃をバンバンバンバン当てていたからその近距離で詰められた時にはどうしようも無かったという事だ。

その一瞬の油断が彼らの運命を分けた。彼の太刀は体と共に回転して、そしてそれによって出来た炎の輪が内から外へと漏れ出していく。彼らのローブに燃え移るようにして。

前原「いざ、かかれぇ!!」

前原「いざ参る!」

前原「敵に名誉の死を与えてやろうぞ」

最早某バトルフィールドの日本兵万歳エディションである。(大本営発表)

しかしそれだけではただローブを燃え移らせるだけにもいまひとつ。すると彼はいきなり自分の刀を鞘に戻し、そしてもう一度彼らの元にその刃を上へとあげ、目の前の敵を斬りつける。そしてもう一人には突きを食らわせ、それは二人丸ごと貫いた。

バババババッ!

一瞬撃って来る者がいるものの、その照準はブレて前原悟に全然あっていない。そんな奴にも騎士道という容赦はない。武士道と言う武器あるのみだった。その星の信者共は目の前と後ろの教祖に追われ、二正面作戦で袋叩き・・・と言うわけにはいかなかった。

パァンッ!

その自分の頭が一瞬ヘッドショットを食らったような衝撃が自分の頭に伝わってくる。そしてその勢いで倒れてしまった。しかし自分の頭はちゃんと胴体についている。どうやらあの兜が抜けた事で衝撃が分散されたようだ。しかし危機はまだ目の前にあった。大量のライフルを構えた星の信者達、壁の方にも関わらず、その銃を向けている残党の黒いローブ。もうここで終わりか、そして見れば壁の方に向かって銃を乱射しているのも、キーンとした耳鳴りの中に微かながらに銃声が聞こえる。もう・・・ここで終わりか。それと同時に剣に付いた灯が消えかかろうとしていた。

~~~~~

その囲まれている前原悟が悟って死のうとしている包囲の後ろで、彼を愛する一人の女性は、自分の体幹と垂直に立っていた剣を抜いて、大きく上に挙げていた。

「マエハラさんは僕が助けてあげないと・・・僕が守ってあげないと!」

するとその彼女は前に一回転しながらその遠心力で自分の剣を遠く、遠く、彼の手元に届くまで思いっきり、自分の力を最大限出してそれを飛ばした。

「ローズ家バラ流剣術。道は茨のように、姿は薔薇のように。掴んでみなさいその茨を。耐えてみなさいその痛みをっ!!」

その彼女の剣にかける呪文、いや力を開放する為のパスワードのように。

~~~~~

銀色に光る刃とそれに巻き付いた茨が、柄にバラの花びらが入っているその剣が回転しながら弧を描いて、その混沌の元に一本の希望の光がやって来る。それは彼の体には当たらず近くの敵の胸に刺さった。瞬間巻き付けられていた茨が動き出し、その黒いローブの持っている物をいきなり巻き付けては奪い取り、そして

ババババババッ!!

その相手に銃弾の嵐を扇形に浴びせた。

前原「(なにが起こって・・・バラ?)」

するとその剣の後に一人の女性、ショートカット、いやそれより少し伸びた程でスレンダーな見た目の彼女が出てくる、そうそれはまさに・・・

前原「ヴィ、ト・・・?」

かつての相棒、ヴィト・ローズであった。

ヴィト「久しぶり、マエハラさん」

彼女はそう言って敵に刺さったそのバラの剣を抜きまたやって来る、囲んで来る敵に向かって同じような回転切りで、その力で若干前に進む。まるで大乱闘系のゲームで見たキャラクターがするような動きで、そして茨が付いたまま、しかもその奪った銃を振り回して、時にそれをぶつけて無力化し、そして銃弾で幕を張る。まるでその姿は死の踊り子であった。

~~~~~

そんな死の踊り子を狙う照準が今そこにあった。十字の先にそんな彼女はいた。その男は自分の武器でガチャンと何か金色の物をその自分の獲物に装填する。また彼も同じように我が星の道を阻む者は、誰であろうと排除するというのが使命である。たとえそれが教祖を愛している者であっても、そして我が星であってもだ。

~~~~~

ABS553「(そろそろですかね・・・我が星と言う名の道具がどう転んでも私の全て手の内なのです。我が星前原悟が魔王に成ったらそれだけで強大な力を得る事が出来ますし、たとえ死んだとしても魔王の凶弾に立ち向かった勇者として無名の英雄となり、その死によって影響されたことにより星の信者でもかなり過激な方、いわばこの“大陸”のあらゆる勢力内にいる反対勢力を全員活動させれば良いのです。そして終わり辺りには人類王・・・国・・・)ふざけんなクソッタレ!てめえの何人いるか分かんねえクソみたいな便女共に俺の妹を誘い込んでんじゃねえっ!!!あ!?王族だからなんだ?自分は許される存在だと思ってやってんのか!?」

すると座って冷静になっていたABS553はいきなりその“人類王国”という言葉をイメージした瞬間、すぐにそれが連想ゲームのように連鎖反応がおきて、憎き存在へと変貌を遂げていた。すぐに立ち上がってその自分が座っていたっ椅子を投げてガシャンと壁に打って壊す。

しかしそれだけでは終わらず、壊れた足を掴んで壁にバンバンと叩き始めていた。これまでの

ABS553「お前らはいつもそうだ!やれ権力が何だ血筋が何だで簡単に事実を捻じ曲げる!魔法みたいな物だな!!クソっっっっっったれっっっっっっ!!!!!!」

ぷんぷん。兄ぷんぷんなその状況に、妹がその部屋に入ってくる。

ABS553「お兄ちゃん?大丈夫!?」

そんな守るべき存在が彼の元にやって来る。そう、妹の553、数字で表されたものの、それが不格好に写るほどの美少女であり、それは王族でも正妻でのお声がけが来るほどだった。

その心配している様子を見た彼は、すぐさま妹の方に駆け寄り、抱きかかえて涙する。これほどまでに見せてはいけない、とても見せられない程の事だったのだ。

ABS553「ごめんな、お兄ちゃんがこんな不甲斐ない奴で。ここにずっと閉じ込めちゃって」

彼はその兄の面影が無い程に完全に泣いた声でそう言っていた。



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