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第7話

そんなことも知らず、筋肉もりもりマッチョマンの前原悟は目の前に姿を現した。そう、信者達の目の前に、素顔を出しながら、だ。その一人の兵士の死角に着いたとき、彼はその首元に向かって人差し指と、口に向かって平手をやり、藻掻く兵士に向かってこういう。

前原「テーザー」

「うおぉぉぉ・・・」

その瞬間スタンガンのようにして、指先から電気が流れる。するとそれを当てられた兵士は一気に重くのしかかっていった。そしてその後、

「うぐッ!」

今度は氷で凍らせたり、

「「ぐえあっ!!」」

二人にその同じような魔法を浴びせたり、

前原「おいこっちだ!」ヒュン!

今度は燃えるような炎を浴びせる。そして近くに手榴弾を置いてはまた殺してを繰り返し、星の信者の兵士たちを次々と排除して、そこから奥に進もうとしたところ、

「止まれ!」ダダダダダッ

高台にいる兵士の一人が、こちらに腰撃ちで乱射してくる。だけどもそれは余り僕に当らず、そして同時多発的に不快な警報が、あちこちで鳴り始めた。

僕は振り向いてまず、その高台の兵士に向かってM4A1を片手で持ちながら同じように腰撃ち、いや精度もガタガタな物なのに、いとも簡単に当たってしまうのであった。そしてあの吹替の帝王の映画のようにしてはしごの所から落下していく。その高台の中から次々と兵士が出てくると、また同じようにしてこっちはただ脳死で引き金を引いて、また出てくる奴らを一網打尽にしていく。それはまるで前原悟のワンマンアーミー。

しかしその高台にだけその狂信者共が集まっていたというわけではない。

「行け!行け!行け!」

その分隊での戦列のように駆け足で向かってくるのは数十人もいる、魔族と人間との混合で出来た部隊。ぼくは自分の持っていた銃を肩にかけてもう一つの手で持っていたそれを肩に担ぐ、そう魔法の杖だ。まるで4連装のロケットランチャーのように構えると、

ボォォォン

けたたましい程の爆音を周りに響かせて、長細いその一団にクリーンヒットするとはそれ即ち想像していた通りだ。そう、彼の心の中では既に自分を完全にかつてインターネットの大きなお友達をその吹替で虜にさせたあのメイトリクスだと考えており、その肩に担いでいる魔法の杖はその彼が持っていたとされるロケットランチャーを完全にイメージしていた。そう、彼はまるでかつての子供時代の時のように“なりきって”いるのだ。

そうやって彼がまるで大佐のように振り向くと、今度はその総本部に通じると思われる大きな門をまた同じように破壊する。そう、映画通りに。

実績解除 “説明書を読んだのよ!”

まるでモブ兵士たち(狂信者の皆様)は飛ぶように倒れていき、彼の目の前に倒れていく。そうして一つ屋敷に入る直前、いきなり大きな爆発がその倉庫と高台の前哨基地がいきなりその建物語と吹っ飛んで行った。手榴弾の威力がどう考えてもおかしいのだ。

ドドドドドドドドドッ

その屋敷に入った瞬間、互いの弾丸が行き交う。追いかけてくる奴らに5.56mmを浴びせ、また狂信者の皆様はやけに芝居がかったようにして倒れていく。彼は物陰に隠れ、目前に諸悪の根源である星の信者の総本部が見えているのにも関わらず進まない。いや周りに武装した信者達がそれを阻めているのだ。そいつらも同じように腰撃ちで道を狭めていた。

前原「ふざけやがって・・・」

彼は自分のM4A1を使って腰撃ちで撃っていく。というかもはや構える事はショットガン以外厳禁であるような感じの戦場だった。

ダダだだだだだだっ

彼はそうやって右から左にその銃弾を持っていく。すると勝手に狂信者の皆様は倒れた演技を実演してかます。まるで倒れるモーションがそれしか設定されていないか如く。

だけども、一つの物が投げられた。それは

前原「手榴d」ボォォォン

一瞬何が起こったのか分からない程に耳がキーンと鳴っていた。自分はもうそして武器はというと

前原「壊れた・・・」

そんなことからもう一つ持っていた短機関銃で周囲を牽制して、そして撤退せざるを得なかった。そうやって撤退したのは古びた武器庫。最早逃げ場として丁度いいくらいにもほどがありすぎるというか、もう何も言えない。そこに隠れるのにも、蜂の巣にもうってつけの丁度いい小屋が。

彼はそのおかげで少し息が不安と爆発音で息が上がりながら

前原「はぁ・・・ハァ・・・一人で楽しみやがって・・・俺も入れてくれよ・・・そのお前らが持ってる“チート”と“グリッチ”でよぉ・・・ハハハッ。ゲーム一本で二度楽しめるってか・・・裏ボスってかよぉ・・・いいぜ思いっきり楽しんでやる!ゲームのプレイヤーとしてっ!」

そう言いながら彼は、自分が着てきた紫色の服を痛みに悶えながら脱いで、上半身の筋骨隆々さを露わにする。最早紫色の尊師みたいな服より正直これの方が多分防御力上がってるんじゃないか?と思えるほどだ。

そうやって外側から歩いてくる音が数人、聞こえてくる。そう、それは処刑かただの訓練か、それは一瞬で分かった。

「よし撃て!」

その号令と共に、

ズドドドドドドッ!

バババババババッ!

あそ~れドンパチドンパチドンパッチ。汚い花火が御覧とな。

異世界なのに、銃がある。異世界だけど、ゲームである。

複数の銃による複銃奏が絶え間なくその小屋で広がる。まるで中にいるそいつの耳にだけ聞かせる最後のオーケストラ、悪く言えば全身ネズミの餌状態か。

その銃の音とモノは、外の壁に複数の小さな穴を開けさせ、ガラスは一瞬で突き破る。皆腰撃ちで隠れて撃っていない。その複銃奏は十秒ほど続いた後、

「撃ち方やめ!」

という合図の元にピタッと止んだ。すると、ピストルを持った一人の兵士がそれを向けながら、

「見てこいCRL133」

実績解除   ”どこかで聞いた死亡フラグ”

そのM4A1を持った兵士がゆっくりと詰め寄ってドアを開けたその瞬間、

「うおぁぁぁっ!!」

上から何か刃物のような物を刺されて、そして何者かが降ってきてその遠心力に押されて出ていく。その気づいた者、すぐさま撃とうとしたものの、前原悟のナイフ、いやチェーンソーのブレード投げの方が早くて高精度だった。その男、よこから斧と長剣を取り出して一つは囲んでいた兵士のおきゃんたまにめり込ませ、もう一人は上から振り上げて殺す。最早武器人間、歩く武器庫、そんな異名がシュール製造機の後に続けて作られるような感じがする。ネットミームオンパレードの匂いがプンプンするぜぇ!!

「二手に分かれろ!!油断するな!!」

遠くでは続々と兵士がその信者の本部から出てくる。まるで足らなくなったら足すだけやと言わんばかりに。その兵士達、皆銃口を挙げながら走ってその元へと向かっていく。

そして前原悟を見つけた途端、すぐさまその銃でバンバンと撃ってきたのだった。されどこの前原悟、元彼らの教祖であった男はベルト給弾式のM60マシンガンを持ってきており、そいつらの銃より十分に火力が強く、彼らは一網打尽にされるがままであった。

前原悟のスピードが歩くと殺すにだけ限定されて、その代わり全員その銃を向けたら情けない声を出して倒れていくのみであった。モブ兵士の倒れ役としては十分アカデミー賞モノなのだが、君たち魔王戦の時に割り込んでた時はもうちょい強くなかった?いうてこっちが銃の撃ち方を知っているっていうのも百歩譲っての話なんだけど。

流石に霧が無い、と思っていたのも束の間、いきなり大きな爆発がさっきとは別のところで鳴った。双方そこに目が向いて、一時休戦する。まるで第三勢力が現れたかのような雰囲気に気を押されていった。

前原「え?」

その“助けに来た”というアルファ掲示板での、“信者どもは貢ぐべし”というメッセージと共に。その瞬間、大きな号令と漢たちの血沸き肉躍る叫び声が響き渡った奴らが森から一気に顔を出し始める。それは、

カカリ「行きますよ!我々魔王軍の雄姿をニンゲンたちと共に!今はニンゲンだとかそういう種族はどうでもいいのです!我々がやらなければ今ここで誰が命を燃やすっていうんですか!!我々の敵は人類王国ではなく、その裏にいる星の信者共です!とにかくこのアイセラ大陸を守る為に、明日の世界の為に!」

「何か分かんねぇけどやる気でてきたー!」

前原「ん?あれは・・・カカリ?」

何処か見覚えのあるゴブリンの顔が目に見える。そう、かつて魔王アルティノの護衛をしていた、そうそのメガネ姿のカカリが、今森の茂みから出てきた。それだけじゃない、あの時倒したはずのサインに、そしてオークのクボウ、さらには人間サイドからはまさかのアルペン、神の庭園の護衛隊長にあれは・・・

セシリア「いい?これは私達による神への贖罪であり、そして未来への繁栄を掛けた大きな戦いでもあるわ!気を引き締めて臨んで頂戴!」

その縦ロールに金髪、そう誰もが忘れないあの神の代行者、セシリア様だ。

まさかの敵同士だった奴が互いに手を組んで、少年ジャンプかよこの展開。

ネチネチ「なんか分かんねぇけど、まあとりあえず魔王、いやマエハラサトルに導線を導きゃあいい話だな!」

前原「えぇ・・・ここで僕の活躍おわり・・・?」

セシリア「我らが崇拝せし神よ、創生神よ。汝はこの皿にて大地を作り、アイセラ大陸を作り、そして生命を作りたり。その御恩、今になりとも忘れず、今後とも永劫忘れなからず。その愛すべき皿の地に、その守るべき未来の場所に、人々に絶大なる加護があらんことを!その害すべき者達に永遠の罰があらん事を!」

その彼女の祈る姿から、いきなり体が黄金に発光して、その周りの戦士、兵士、親衛隊たちにその祝福が降り注ぐ。その前原悟がコマンドーのメイトリクス大佐みたいに片手で機関銃、もう片手でその給弾ベルトを持ってバンバンブチ殺しタイムをしている所だけを除いて。

しかし鳩が豆鉄砲を食らったような顔をしている前原悟の元に、銃剣の付いた銃が突き付けられており、危機一髪のその直前にまで来ている。しかしその瞬間、剣と槍がその突き付けていた二人の元に刺さって動かなくなる。それらは完全に誰と誰の者なのか一瞬で分かった。そう、そのボサボサで長い髪を以てしてでも分かる。

ヴィト「やっと見つけたよ?マエハラさん、こんな変な場所で一人戦ってたなんて・・・なんで僕に言わないの?しかも目の前で死んだふりしちゃって・・・その責任、とってよね・・・♡まあ僕の持ってるお家に一生監禁で許してあげるけどね?」

今は現ストーカーのヴィトさんの方が星の信者より逆に怖いまであるわ。多分選択間違えたな・・・ここにいればよかったモノを。しかも目の下に隈を生やしてるわけだから余計その目が怖いわ。

凌雨華「まぁ・・・がんばれ?マエハラ、私は別に・・・大丈夫だから。恋愛感情何て全くにせよマエハラには無いから、ね?」

ね?ってお前、ね?ってお前、何なんだお前の事激重結婚式に呼んでやるぞ?祝ってやるぞこの野郎。

ヴィト「あ、それとこれ、マエハラさんの奴だよ。返すね?」

するとヴィト・ローズ、イケメン女子でイケメンムーブな彼女は、まさかの俺が魔王を倒したときの刀を大事に保存してくれていたのだ。しかし柄には唾液や涙を乾かしたような、なんか体液を乾かしたようなにおいがするけども、凄くありがたい。

そんな彼女の顔はどこか、前原悟の見えない所で恍惚な表情で目にハートの形が浮き上がっているのが見えた。そう、“君はずっと僕のモノ”という、動物で言う所のマーキングである。

前原「まぁ・・・ありゃあす!」

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