世界が茜色に染まった。完全に。
一日の終わり、世界の終わり、全てが終わる。
どのような終わりを迎えるのだろうか。
碧と翠は隣り合って座りながら、視界を埋め尽くす太陽を目を細めて見ていた。
「綺麗ね」
「うん。外に出てよかったね」
自然と互いの手を握り合う。
「怖い?」
「ええ……まだ、少しだけ」
静かに目を閉じて、碧に身を委ねる。
「でも、碧を信じるわ」
頬に口づけをして。
「世界を越えた先でも、あなたに会えることを。そして、あなたと愛し合えることを」
世界が茜色に満たされる。
熱くもないし痛くもない。ただ、全ての命が砂のように流れていくような感覚。意識が遠のき、互いの輪郭すらおぼつかない。
「うん。世界を越えても、翠を愛するよ」
「私も、碧を愛するわ」
繋いだ手の感覚が無くなる。そもそも、手があるという感覚すらない。
「「あなたと共に過ごせて、嬉しくて、楽しかった」」
これから終わる世界を終わらせる音が響く。