「ほら見なよみんな。これから救う世界だ。存分に暴れつくそうじゃないか」
「主様、始めましょう」
「そうだねスクイ。行こうタスク、救済だ。これは全てを救済するための聖戦だ。僕たちは、正しい行いをしている。過去も、今も、そして未来も」
「そうです主様」
セイヴに付き従う二人の真っ白な少年少女
その三人の後ろにいる男が二人
「まずは文明をすべて破壊するんだ。そしたら次の段階だ」
「別世界を壊すとか面白そうだな」
「壊してもいいのは文明だけなのですか?」
「そうだね。今はそうだ。ただ、邪魔するなら排除してもらって構わないよ」
「なら話は単純だ。ぶっ潰してぶっ壊す」
「はは、頼もしいよレンタロウ。エイジも頼んだよ」
「はい、お任せを」
セイヴは二人の異世界人を解き放った
二人は不敵に笑うと、分かれて別々の国へと向かっていった
「さて、破壊はあの二人に任せておけばいいかな。壊されてからが僕らの出番だ」
セイヴと共にいる二人はうなづくと、その場から消えた
「さーて始めるか! ギャハハハ! せっかくのチャンスだ。好きにさせてもらうぜ」
セイヴに異世界から連れてこられた男
名を北島廉太郎。カズマと同じく地球から来た者だった
目的は破壊
全ての国々の文明を破壊し、セイヴの目的達成のための足掛かりを作る作業を任されていた
「あそこは、セイヴの言う通りちび共がいる国か。ああいうの何てったっけ? ホビット? まぁ何でもいいや。行くぜ、ザ・デストロ!」
レンタロウの力が発動する
すると小人の国と呼ばれるフローレンス王国が一瞬にして、消えた
その日から始まった
この世界の崩壊が
「ぎゃっはっはっは! 何人死んだ? この力強いんだが、ヒトが死ぬところが見えねぇのが難点だよなぁ」
そしてもう一人の異世界人
彼の名は伊能栄治
レンタロウと同じく、この世界を破壊するために呼ばれた男だ
「えーっと、セイヴさんの地図によると、この辺りはフェニクスって神獣の領域かな? 主要国は鳥人族の国アルトロ空国、か。へぇ、雲がかかるような高さに国があるんだ。まぁどうでもいいんだけどね。それじゃあやるかな。ザ・ロスト」
空間に穴が開く
そこだけただ何もない。まっさらで真っ白な空間に変わる
「うーん、少し残ったか。初めてにしては上出来かな?」
国とその周辺の領土の約七割が消え、生き残りは後にこう話した
目の前が突如として空間となった。目先より先には何もないが広がったと
「次はどーこだ」
ウキウキと、楽しそうにエイジは地図を見て、口笛をうそび、次の国を狙う
「よし、次はカーネン商業共和国にしよう。商業を中心に栄えてる国か。ってことはそこを消しちゃえば世界の崩壊により拍車がかかりそうだ」
無差別に破壊するレンタロウとは違い、エイジは先に消すべき国を吟味し、行動に移す
エイジは再び口笛を吹きながら、自らの能力でその場から消えた
突如として二つの国が消えた世界中が震撼する中、魔王は配下にして友人の魔人たちに一つの命を下していた
カズマに協力し、元凶の居場所を報告せよと
その任に当たるのは、再誕したミンティ、チーパック、ロイドと、恐怖で未だ動けないセリの四人以外は、二人から三人で組んでいるようだ
中でも魔人最強と呼ばれたローズマリーは単独で調査に出ていた
「はぁ、まだ修行したりんでござる」
「いいから行くぞ。オレガ様の命だ」
「ロロ殿でござるか今日は。しかしまあ拙者も世界を回り、力を高めたのでござる。今では九本目の尾も使えるようになったでござるよ」
「強くなったのだな、お前も。だが私達のやるべきことはカズマ様に情報を伝えること、発見しても決して戦おうとしてはならんぞ」
「分かっているでござるよ。カズマ殿を見てればいやというほど自分が弱いことを分からされたでござる。しかしあの御仁は一体何なのでござるか? あれはもうはや、この世界の領域外でござる」
「私にもわからん、が・・・。オレガ様が信頼しておられる。ならば私もそれに従うまで」
「硬いでござる・・・」
「む、何か力の流れが」
「あ、ああ・・・。ロロ殿、これは無理でござる」
「そ、そうだな。報告にもど」
ロロの言葉が遮られ、彼女の下半身が消えていた
「ロロ殿!」
目から光が消え、彼女の上半身はその場にドチャリと崩れ落ちた
「く、この!」
ハッカが剣を抜くよりも早く相手の力が彼を襲った
「か、く、あ・・・」
左半身が消え、ハッカもその場で倒れた
「なんだ、魔人とかいうのも弱いんだ。僕の世界の読みものでは強いってのが相場だったのに」
さもつまらなそうにエイジはため息をつき、去って行った
「伝えねば、カズマ殿、に」
半身になってもなおハッカは動き、念話を飛ばした
「魔王様、やられもうし、た。すみませぬ。相手は、消す、力、バジルーシャ殿、すでに、こと切れ・・・」
そこでハッカの命も途切れた