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第27章 神モデルでお披露目配信ってアリですか?④

『わー!』

『待ってた』

『タッグがタッグなだけに期待値高い』

『大地パパってことは3Dなん?』


「お、そうそう。今回はLive2Dを脱して、3Dモデルだ。なので、今後輪っかフィットなんかは俺のリアルの動きがちゃんと見れるようになるぞー」


『さて、本当に秋城が動いていたのか』

『インチキしてたかもしれん』

『輪っかコンだけ振ったりな』

『これで真実が日の元に』


「はっはっはっ、誓ってインチキはしてねーから楽しみにしててくれー。さて、じゃあ、こういうのはお約束に則って足元から映していくか……画面明るくしていくぞー」


 そうして、俺は暗転させていた画面を明るくしていく。すると、現れる———こげ茶色の革靴に黒いズボンの裾。


『あまり見ない秋城の下半身』

『さっき表示された2Dモデルで初めて見たまで』

『でも、流石2039年製』

『2018年製ののっぺり感とはおさらばしてるなあ』


「これからは積極的に下半身も晒していくから、な……下半身を晒す?」


 ついつい自分で言ってて自分で疑問を呈してしまう。


『マズイですよ!』

『下半身晒すはアウトだろwwwwww』

『脱ぐのか、秋城……?』 

『誰得だwwwwww』


「だよな!俺も言ってから不味いと思ったわ!えーと、アレだ。全身映していくみたいな意味で、理解してくれ~」


 緊張がほぐれてきたと言っても緊張をしていない訳ではない。変なところでミスってしまった、と内心少しテンパっていると———。


『星羅セイラ:秋城くんが暴走しだしたかと思ったよ』


「お、お前と一緒にするな~」


 この@ふぉーむの暴走列車め。でも、セイラのそんな書き込みにテンパっていた心が少し落ち着いて。俺はマイクに入らないように浅く深呼吸をして口を開いた。


「じゃあ、少しずつカメラ移動していくぞ~」


 そうして、カメラを徐々に上げていく。


『普通のスーツ』

『男性用スーツ』

『でも、今までのっぺりとしてた秋城の体格が分かるようになってきたな』

『新規衣装にすればよかったのにw』 


「新規衣装な~一瞬考えたが、やっぱりノーマル衣装の3Dモデルが欲しくてな。まあ、でも、新規衣装も追い追いは考えてる」


『あるにゃ:新規ご依頼お待ちしてます~』

『金剛の大地05号:お待ちしてるよ』


「あ、その節はまたよろしくお願いします」


 そう言いながら、画面は俺の首から下を映すまで登ってきて。


「そうそう、聞いてくれ。これは大地パパの神仕事なのだが……スーツの上着が脱げる」


 そう言いながら俺はスーツの上着をオフにする。


『おおおおおっ……!』

『シャツの下に透けて見えるインナーはどっちの神のお仕事ですか?』 

『すげえ、癖ェ!が詰め込まれてやがる』

『神と神のタッグだもんな』


「シャツの下に透けて見えるインナーは発案あるにゃママ様、モデルに落とし込んでくれたのは大地パパ様の仕事だな。これ、最初あるにゃママ様にこういうことしていい?って聞かれたとき俺も驚いた」


『あるにゃ:秋城くん打ち合わせの通話で唯一敬語が外れた瞬間だった』

『そりゃ外れるわ』

『秋城なんて言ったんだwwww』

『まあ、インナー実装していい?はどゆこと案件だよなww』


「敬語外れたっつってもアレだからな、「イン、ナー……?」って言語を忘れた何かになっただけだからな」


『まあ、言語を忘れるぐらいなら』

『カードゲーマーだもんな』

『言語ぐらい忘れるか』

『粗相をしてないならよし』


「してない、してない……してないですよね?あるにゃママ様?」


 ついつい不安になってしまう。粗相とは自分が認識している時点のものは大分ヤバイものだ。だけど、自分が認識できていない細かい粗相もある。俺が内心少しびくびくとしていると———。


『あるにゃ:そうだねえ、未だに様付けで少し距離を感じるのが気になるぐらいかな?』 


「うぐっ」


 それは言外に様を取れとのお達し。だが、だが……!


「神絵師様に向かって様を取れる訳ないでしょう!」


『厄介ヲタクめ』

『気持ちはわかる』

『呼んでやれよ。お前の何人目かのカーチャンだぞ』

『金剛の大地05号:んじゃあ、俺のことも様なしで』


「大地パパ様まで……⁉」


『逃げ場がwwwwww』

『これは呼ぶまで終われんなwwww』

『ほれほれ』

『呼ぶだけ、呼ぶだけだから』


「くっ、うっ……」


 恐れ多い、その気持ちが無論第一なのだが。俺は人生において、ママやパパをその呼び方で呼んだことがなかった。記憶のある範囲の話でね!とりあえず、母さんの教育方針が「お母さん」「お父さん」と呼ばせることにあったせいだ。なので……恥ずかしいことはない筈なのに何故だかとてつもない恥ずかしさを感じていた。


「く、う……!」


 だが、それで、それであるにゃママ様や大地パパ様が喜んでくれるというのなら。それは頑張らない訳にはいかない!俺は恥ずかしさにその身を焼かれながら声を捻りだす。


「あるにゃママ……大地パパ……」


 内心で様をつけつつ。うるせー、内心は自由だ!


『金剛の大地05号:お~~~~息子よ~~~~』

『あるにゃ:ママだよ~~~ママの言うことは絶対だからね~~~』


 なんか変なオーダーが入った気がするが、まあ、2人が喜んでくれているようなのでなにより。さて、サクッと脱いだ上着を着つつ。


「よし!じゃあ、次!一番の目玉!顔を映すぞ~!」


 恥ずかしくて顔が熱くて、冬だというのにぽっかぽかなのは画面には映らないので語らない一択だ。


「じゃあいくぞ……」


 俺はゆっくりとゆっくりと徐々に画面を上に上げていく。


『ついに』

『というか大分喉も拘ってるな』

『流石あるにゃ様』

『流石大地様』


 そうして、画面に映し出される秋城の顔。


『おおおおおおおっ⁉』

『えっ、解像度高ッ』

『すげえ、過去のママの絵のよさを引き継ぎつつあるにゃママの味がある……‼』

『秋城のファンアート描きます』


 大量に流れていくコメントについついドヤ顔をしてしまう。だろうだろう、あるにゃママの描く秋城最高だろ?


「いや、本当に最高だよな。元のママ様のよさを引き継ぎつつ、2018年の秋城を2039年版にした……マジで完璧なリメイク過ぎて震えるっつーか……!」


『そして滲み出る秋城のドヤ顔』

『顔に全部でてんぞ』

『余程嬉しかったんやろな』

『ありがとぅ————ッ!あるにゃ様————ッ!』


 コメントが今日は爆速で流れていく。同時視聴をやってくれているからっていうのもあるだろうが、それだけではなく……名前の後にアーリストやカリ豚をつけた方々まで来てくれてて。本当に嬉しくて嬉しくて仕方なくなる。


『鈴堂うぃん:かっこいいよっ!秋城さんっ! 46000円』

『星羅セイラ:ふ、ボクと並んでも遜色なくなってきたね 46000円』


「よ、よよよよ、4万⁉うぃんたそ、セイラ、今すぐその大金を財布に仕舞え!というか、何故46000円?」


『あきしろ(46)に合わせたスパチャやなあ』

『秋46だから』

『桁が多いのは愛だろうなあ』

『ぐああああ羨ましい!だけどおめでとう!』


 いつもは大抵羨ましいと死ねという言葉が並列しているのに、今日は素直にお祝いしてくれるのか、なんてコメントを見てにやけてしまう。他にも大量のおめでとうの、秋城の新しいモデルでの門出を祝ってくれる声に俺の顔面はもうゆるゆるだ。


『お前、そんな顔できたんか』

『表情ごりごり動くようになったな』

『今までのは無表情か笑顔みたいな感じだったもんな』

『今まで隠してたん?』


「隠してた……訳ではないが、ほら、どんなに足掻いても2018年製だから。表情も今ほど豊かじゃなかっただけだな」


『なるほど』

『つまり、秋城がニヤニヤしたりした瞬間が分かるようになったと』

『うぃんたそとの配信ずっとニヤニヤしてそう』

『↑女V全員にデレデレしてるよきっと』


「うぃんたそ以外にデレデレしてる気はないけどなー」


『うぃんたそにはデレデレしてるのか』

『うぃんたそとのコラボが楽しみですねえ』

『おい、うぃんたそ聞いてるか⁉』 

『鈴堂うぃん:もぉっとデレデレしてもいいんだよ~ほれぇ~!』


「これ以上デレたら言語野も一緒に溶けちまうよ、うぃんたそ」


『星羅セイラ:ボクにデレデレしてくれてもいいんだよ!』


「セイラ、それは無理だ」


『即斬りwwwwwwwww』

『セイちwwwwwwww』

『本当にセイちに容赦がない』

『同時視聴してくれてるのにネー(*´・ω・)(・ω・`*)』


 うっ、それは痛いところを。


「うぐぐ……本年はセイラに手心を加えていこうと思います……」


『本年(あと6日)』

『短いwwwwwwwww』

『いやまあ、デレではないけど愛は感じるよ』

『男友達へ向けるソレだけどな』


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