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第33章 囁き声に尊死ってアリですか?③

【セイちとの青炎シンギュラリティデュエット最高でした!


巷では最近秋城とかいう男の介入があるようですが、セイうぃんもかなりてえてえと俺は思っています!


@ふぉーむナンバーワンを競うライバルで、よくデュエットもする2人。今回は青い炎を纏ったうぃんたそと深紅の炎を纏ったセイちとのデュエットが本当に神がかってました。


これからも頑張ってください!応援してます!】


 おおう。今までにない派閥の方だ。


「セイうぃん派閥の方からのわたあめだね~。確かに、セイちとは一緒に歌うことが多いからそういう派閥の方がいるのは存じ上げているよ~!」

「てえてえじゃなくても、普通に歌声の親和性が高いからな。コンビとしてだったり、なんだかんだ人気だよな」


『最近秋城のせいで忘れがちになられてる派閥の方じゃないですか』

『でも、セイうぃんはマジ声の重なりいいんだよな』

『青炎シンギュラリティはマジで戦う様に歌いあっててよかった』

『うぃんたそってあんな風に歌えたんやな』


「青炎シンギュラリティはね、実はすっごくセイちとバトったんだよね。打ち合わせ段階で」

「え、セイラとうぃんたそがバトル……?」


 せ、世那ァ!そんなことしてたのか!俺は思いがけない罪悪感に襲われながら聞き返す。


「詳細はちょっと言えないんだけれど、セイちにもあたしにも歌への拘りがあって、演出への拘りがあって。でも、そこでバトらなかったらきっと今回のデュエットは生まれなかった、そんな凄いいいバトルだったよ」


『暴走列車VS大天使』

『凄まじいバトルだったんやろな』

『2人とも個性があるタイプの歌うまだもんね』

『でも、主役のうぃんたそに楯つくのか』


「あー、えっとね。楯突くとかじゃなくてね。うぃんたそ、セイちにはむしろ感謝してるんだ。あそこまで激しい演出にできたのはセイちのおかげだし、ましてやその直前にセイちの生誕ライブもあった訳だからね。だから、セイちを悪く言うのはなし、だよ?」


 お、これは俺も助け船出した方がいいやつだな。


「セイラなー、あけおめライブ、自分の生誕ライブ、うぃんたその生誕ライブって怒涛のスケジュールこなしてて普段悪態ついてる俺も今回は流石に態度改めるな。マジで凄かった、どのライブも一切手を抜いてないのが本当に尊敬するわ」


『分かる』

『セイちも一生懸命走り抜けてるよなあ』

『このまま第一線を走り続けて欲しい』

『でも、うぃんたそにも負けないで欲しい』


「ねー、秋城さんの意見凄くよくわかる。セイちが頑張ってくれたからこそ、あのデュエットができたわけだしね。この場を借りて、本人にも言ったけど、ありがと、セイち。大好きだよ」


『!?!?!?!!?!?!?!?!?』

『うぃんたその大好ききた!?!?!?!?』

『本当にたまにしか出ないデレじゃないですか!』

『セイうぃんはあるぞ———————ッ!』


 おお、凄いコメント欄が盛り上がっている。同時に、鈴羽がとてもいい笑顔を浮かべているであろうことが容易に予想がついた。


「じゃあ、わたあめ3枚目~」


【闇落ちアールからカリア姫を奪い返す姫騎士うぃんたそ最高でした!】


 お、今度は短いわたあめだ。これに関しては解説をしようではないか。これは、ライブの中盤の寸劇で闇落ちしたアールがリアさんを攫って、そのリアさんを解放しようと姫騎士うぃんたそが立ち上がる、みたいな流れがあって、それのわたあめだ。


「あれは楽しかったね~~。ちなみに、この企画をお2人に見せた時はアール先輩に「カリアなら自力で何とかすると思うよ」ってちょっと遠いところを見て言われたよ」


『カリア様お強いもんな』

『だけど、そんな強いお姫様が姫騎士に守られてるのも乙』

『あと、アールが悪役っていうのも珍しくてよかった』

『弱ったカリア様なかなかにブヒれた』


「ていうか、今回そういえば大天使じゃなくて姫騎士だったのはうぃんたそ的好み?」

「うん、なんか異世界的ななにかもやりたかったな~みたいな感じ。あと、そろそろ大天使演出が尽きてきちゃって……」


 ああ、羽根が舞ったり、空から降って来たり、ウユニ湖に立ってたり、うぃんたそいっぱいその手の演出使ってるもんな。


「いや、良い演出は何回擦ってもいいんだぞ……?」

「うぃんたそが飽きてきちゃって……主催が飽きちゃうライブは面白くないでしょ?」


『ここもうぃんたそのプロ意識』

『ちゃんと自分も楽しもうとしてるの偉い』

『さすうぃん』

『うぃんたそ、楽しかった?』


「え、その質問早くないかな?でも、うん、何回でも言える。今年の誕生日ライブも凄い楽しかった、って」


 俺の涙腺決壊である。俺は鼻を鳴らしながら、パソコン脇のティッシュ箱からティッシュを取り出し始める。


「あれ、あれれ?秋城さん泣いてるぅ?」

「泣いてなんか、泣いてなんか……泣いてます。いやだって、昨日もマジで死ぬほど泣いたんだって。ライブ良すぎて。それに加えて、こんないいアフターしてもらえるなんて、涙腺枯れるまで泣くわ」


 俺は泣いているのがバレたのをいいことに鼻をティッシュでかんで涙を何度も拭う。


『うわ、秋城のいらんASMR』

『秋城の生活音誰得』

『↑そんなもんうぃんたそ得だろ』

『↑流石にうぃんたそも鼻かんでる音は引くだろ……引くよな?』


「秋城さんも鼻かむんだ……人間だね、へへ」


『恐るべき大天使目線』

『なんでも可愛いに変換されるやつだ!』

『駄目だ、手遅れだ!』

『もう秋城になにさせたらうぃんたそ引いてくれるんだよ』


 それはそう。基本うぃんたそ全肯定してくれるから嬉しいけど、……これうぃんたそが引き始めたら余程ってことになる。そんな事態にならない様俺は努めなければならない。


「でも、まだまだ配信時間あるのに此処で泣いてたら秋城さん枯れちゃうよ~?」

「大丈夫だ、うぃんたそ。その為の水、その為の水分補給だ」


『出した端から補給していけ~』

『永久機関が完成しちまったなァ!』

『出して飲んで出して飲んで』 

『此処から秋城がずっとズビズビしてるのか』


「もう~、でも、秋城さんとも語らいたいっていうの忘れないでね?」

「それはもちろん」


 俺はとりあえず一旦涙を引っ込ませるように、強めに拭けば涙も自然とストップしてくれる。


「じゃあ、お次のわたあめ~!」


 うぃんたそが前のわたあめを剥がして、次のわたあめを貼りつける。



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