スーパーから帰宅してそのまま一回戦済ませた和也は、特急で夕食の支度をした。あまりの手際の良さに、側で身惚れる美貴をうっとおしく思いながら。
出来上がってさあ食べよう、と思ったところで美貴が何かをやっている。
「美貴さん、なにしとんの」
「写真撮ってる」
美貴はいろんな角度から食卓の写真を撮っていた。もちろんSNSにアップして自慢するためである。
「ちょ、なにインスタに上げんの? 恥ずかしいからやめれ」
「何でよ。映えてんじゃん」
「俺的にはそういうレベルに達してないの」
「何そのプロ発言」
「それが矜恃ってもんだ。写真撮りたいんなら、今度はちゃんとするから。100均で小物も揃える。それからでいいよな?」
「むう……。そこまで言うんなら、わかった」
和也は美貴の頭をよしよしと撫でた。
「ところで……一体なんて言って上げてるんだ?」
ひょい、と美貴のスマホを取り上げた。
「あー、かえしてぇ~」
まもなく和也の顔が渋くなった。
「……美貴さん、ウソはいけない」
「ウソって」
「俺はシェフじゃないし、ケータリングたのんでもねーだろ」
「盛りました。すみません」
「うむ。じゃ、フィアンセって書き直しとけ。いいな?」
「それはダメかも……」
「なんでだってばよ?」
「学校始まったら……ちょっと恥ずかしいんで……。クラスメイトもフォローしてるし……」
「あー……。まあ婚約者はねえか。じゃ、カレシで」
「それならいい」
「いいんだ」
「なんか言われるとは思うけど、その時はヨロシク」
「はいはい。じゃメシにしようぜ」
「はーい♥」
☆
夕食後、もう一本映画を観て就寝することに。
若干きゅうくつな美貴のベッドに横たわる二人。
「ほんじゃ、今日は疲れたからもう寝るぞ。おやすみ」
和也はごろん、と美貴に背中を向けた。
「うん……」
(おっぱいぎゅ、しちゃえ)
「だーめ。明日は仕事行くから今日はちゃんと寝るの」
「むう……」
(もうちょい、ぎゅう)
「…………
……………
……………………ぐぬぬ」
和也の股間をごそごそとまさぐる美貴。
「おっきくなってるじゃん」
「ああああ――――ッ!」
和也はぐるりと美貴に向き直った。
「もう、そんなたわわなもんを背中に押しつけられたらおっきぐらいするわ! なんなん! いいから寝かせろ!」
「えええ……」
目をうるうるさせて、じっと和也を見つめる美貴。
「うう……
そ、そんな可愛い顔で見つめられたら……
拒否れないだろ! くそう、俺の負けだ!」
「くっくっく。抵抗は無意味だ、和也君」
「ちくしょう! お前が可愛いから悪いんだ! ちくしょう! 明日仕事なのに!」
「にしし……」
「こうなったらな! エロ同人みたくしてやるんだからな! 寝られると思うなよ! クソッタレ!」
「なに言ってんのかわかんないんだけど」
「わからなくていいの!」
「きゃあー」
部屋に美貴の歓喜の声が響いた。