目次
ブックマーク
応援する
いいね!
コメント
シェア
通報
この作品は完結しました。
他の素晴らしい出会いもあなたを待っています。
もっと見る
https://neo-op-common.s3.ap-northeast-1.amazonaws.com/40B1D2DB8AAAACC8D7D8B4A7DAF1F65157B50FF96C3A93CF57B36699E097273C.png
江戸時代へのタイムリープもののローファンタジーである本作は、江戸の風俗描写や迫力のある妖怪退治、ほろりとする人助けの人情、切ない恋愛模様など多彩な面を描いていて見どころ満載です。特に江戸時代の季節ごとの風俗や伝説、ことわざなどが巧みに描写されているのがすごいです。二枚目、三枚目や幕の内弁当、鼠小僧など、現代まで残っている言い回しや伝説の由来を知る事ができて勉強になりました。作者の水無月六八さんが江戸時代を舞台にした本格的な歴史・時代小説を書いたら、とても読み応えがありそうです。 この物語は、現代の普通の高校生亮哉の成長物語でもあります。彼は、いきなり誰も知らない場所、それも江戸時代に飛ばされたのに、自分の居場所を作って人々との縁を深め、困っている人々を助け、妖怪退治にも勇敢に協力していく――その姿は、もうただの高校生とは思えません。現代に基づく知恵と道具も駆使して妖怪退治をする彼の賢さにも感嘆しました。彼がいない時、すずさんとおあきちゃんはどうやって妖怪を退治できたのかと思うぐらいです。でも他の登場人物もとても魅力的で、亮哉が彼らとの縁を深めていったのも納得でした。 恋愛小説好きの私としては、合間に挟まれる亮哉の葉月への一途な想いにも胸がキュンときてよかったです。他の登場人物の恋愛模様にもジンときました。葉月と離れている間に心が揺れて葛藤しても、経験や人との縁から学んで想いを昇華させた亮哉は、とても大人でした。 本作の結末は予想外でしたが、幸せな気持ちで読み終えることができました。
1