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第166話 仲良し打ち上げ会1

「え〜、一年三組の優秀賞受賞を祝ってぇ!? かんぱ〜〜いッッ!!」


「「「「「「かんぱーい!!!」」」」」」


 あれから、数日後。


 最優秀賞、優秀賞、校長特別賞のうち上から二番目の優秀賞に選ばれた一年三組メンバーは今、全員で打ち上げに来ていた。


 当然お金は学校持ちである。ちなみに最優秀賞はタッチの差で別の喫茶店が勝ち取ったらしい。俺と由那も入ろうとしたが、どの時間帯でも常に列ができていて入るのを断念したクラスだ。


「ふへっ、ふへへへへっ。……ぷあぁぁぁぁぁっ!! ビール最高ォォォオオ!!!」


「ふふっ、湯原先生凄い飲みっぷり。一口でジョッキの半分も飲んじゃってる〜」


「あの人は相変わらずブレないな……。いや、まああれくらいしても咎められないくらいの働きはしてたか」


 当日、在原さんに使い潰されヘロヘロになっていた先生は、今日は飲み放題だということもあり。ペースなど考えずビールをがぶ飲みしている。


 普通はこういうクラス全員での打ち上げの席に担任の先生が来ていたら、席分けの時にその隣やら正面やらに行くのは嫌がる奴が多そうなものだが。


 湯原先生の場合は違う。ああいうフランクなところというか、変に堅苦しくなくはっちゃけているところがいいのだろう。団体席の一番奥の上座に先生が座った瞬間、すぐにまわりが女子生徒で埋まってしまった。なんやかんや言いながら、やっぱり慕われているのだろう。


「あっ、ポテト食べたい! あとは唐揚げも欲しいなぁ。ね、ねっ! ゆーしはどうする!?」


「私、枝豆欲しい。このつくねも美味しそう……」


「さあさあ、ひなちゃんもどんどん頼むんだぞ! 今日はタダ飯だからな!!」


 ちなみに俺のいる席はというと、おなじみのメンバーである。


 いや、一人は違うか。これからおなじみへとなっていくのであろう、蘭原さんもいる。


 奥の席には寛司と中田さん、在原さん。


 手前の席には俺、由那、蘭原さん、と。


 どうやらこの文化祭期間中、蘭原さんは在原さんと中田さんに随分気に入られていたらしい。それに加えて誰に対してもフレンドリーな由那もいて。いつの間にか、これまで五人グループだったところが六人になっていた。


「あ、ありがとうございます……。じゃ、じゃあ私は、だし巻き卵を……」


 やっぱり奇数グループよりも偶数グループの方が、しっくり来る。これなら誰か一人が溢れてしまうこともないし。


 まあ……在原さんに蘭原さんを近づけるのは、個人的に少し不安な気もするが。


 ただ文化祭でどうやらあの二人は一緒に店を回っていたらしいし、そう変なことにはならなかったということか。そういえば中田さんも二人のことをやけに心配していたっけな。


 何やらヤバい狂気が見え隠れする蘭原さんと、いつもマイペースで常に行動が予測不能な在原さん。こうやってみると、案外お似合いな二人なのかもしれない。


「あ、そうだ! ひなちゃん、まだ私達の仲良しグループに招待してなかったよな! これからはひなちゃも遊びに誘いたいから、追加させてもらってもいいか〜?」


「へっ!? ひゃ、ひゃひ! も、ももももちろんです!!」


 やっぱり友達の輪が広がっていくというのは良いことだ。少々個性的な新メンバーではあるものの。在原さんのお気に入りとしてはむしろ、自然な気も……


「へひっ、へへへへっ♡ グループライム……仲良しっ♡ これでもっともっと、薫しゃんにお近づきになれるぅ……っ♡」




 自然な、気……しなくなってきたな……。

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