主人公は、戦場で「白い幽霊」と恐れられ、感情を殺して生きてきた元兵士エメ。
ある事件をきっかけに騎士の称号を得るものの、実質的な左遷として辺境のカルム村へ赴任することに。
彼女を待っていたのは……外の人間への不信感を隠そうともしない、村の自警団や、これまでの彼女の人生にはなかった温かな出会い、そして不可解な出来事の数々でした。
心を閉ざし、ただ任務を遂行することだけを考えていたエメ。
けれど、世話焼きで心優しい薬師ロラの存在が、村の昼時を告げる謎の歌姫クラリカの美しい歌声も、エメの心に不思議な波紋を広げていきます。戦うことしか知らなかった主人公が、新たな人間関係や未知の感情に戸惑いながらも、自身の存在意義を模索していく姿が丁寧に描かれています。
彼女はそこで何を見つけ、何を守り、そしてどう変わっていくのか。
重厚な世界観と、主人公の繊細な心の機微が織りなす物語がここに。