あんまり黒って好みじゃなかった
見ていてげんなりしちゃうから
それがいまでは どういうことか
じっと
おもわずじっ と
許可も得ないでじっ
と見ている
その眼球は裸のままで恥ずかしげもなく輝いている
おれは想像で見通せちゃうけど
見えないままのほうがいいことも
あるんだな って
じっとする
いつも馴染みの自分の髪よりきみのは細くて艶やかだ
なんていうか ぬばたまの
夏の陽射しでも夜をまとう
最初は黒いと感じていたけど
よくよく見ると色ちがうね?
紺より暗くて黒とは異なる
スカートはアコーディオンみたいに広がって
ふとももをいっそう白く思わせる
なんていうか ぬばたまの
電球色が月のようだ
紅茶の好みがわからないから
素直に聞くしかないんだけど
率直に言ってわかりません!
おれはワカッタフリが得意だ
まかせろ顔だけうまく作るぜ
知らない 教わっても 見えない
切れない 記憶が薄れゆくのに
会えるかもって待っていたのに
いざ会えたら やあ 奇遇だね
あたりまえだろ
おれはワカッタフリが得意で
知ったかぶりすることもあるけど
知らんぷりだってお手のものさ
って
無意味に得意気に空回りしたら
心は案外これで楽しそう
謎に秘密めいた無意味顔を
さとられないように
きづかれないように
見抜かれたとしても
知らんぷりしてくれ
透明なガラスは曇りがなくて
ゆきかうひとたちのスクリーン
知ってる制服 知ってる顔まで
こっちがきづけば向こうもか?
おれは他人のフリをしようとして
自分のスキルにないじゃんか
まかせろウソならうまくつけるぜ
って
からさわぎにシャカタクが降る
なんていうか ぬばたまの
てれくさすぎて夢のようだ
むしろ夢なら夢でもいいな
目覚めれば受験が終わってる
どうにもならない現実とはいえ
選べないのに選択肢
目覚めればなにかが終わってる?
あんまり黒って好みじゃなかった
きみがあまりにも着こなし上手で
おれの好みに思えてしまったよ
電球色の月が満ちる