きみが軽そうに背負うリュックが実は意外と重かった
なにが はいってるんだい?
聞きたかったけど 言葉を飲み込んだ
きみが嬉しそうに話す旅行が実に意外と失敗だらけで
つぎは 一緒に行こうよ!
思わず声に出していた
うん
と
うなづくきみが少し うつむきかげん
白羽の矢が飛んでいくのを見たことがある
ああ あんなふうに選ばれるんだな
って
幼いながらも気づいたことが
ぽつりときた
矢ではなく水滴
これくらいならどうってことないかな
みるみるうちに
きみのブラウスが透けていく
水着のようなハイビスカス
みたいな
花びらいくつか浮かびあがる
どこを見ているか気づかれつつも
ぼくは釘づけを楽しめるけど
きみの胸の鼓動が響いてきそうで
息
まじで息
隠したい
ぱらぱらバラバラ
降る…いたたたた
透けないスカート
ひるがえらない
ふたり駆ける
泥が跳ねる
今日は寄らないつもりだったけど
因果だね
いつもの時刻だ喫茶店
ねえ知ってる?
たぶん知ってる
じゃあ答えて
なに
雨の矢って書いてなんて読むの
おれはガッツポーズわざとしてから
うし
カラーン鳴り響いた扉の向こう
煎りたての香りが迫る