「そういうのを自分探しって言うんじゃないかなー」
と指摘されたけど
はずれていると思うよ
おみごとだ
えらそうに思われたくないから
できるだけ軽く軽く軽やかにって心掛けてみる
チャラチャラ
とにかくやることなすこということ全部
きみのまえで転がりつづける
意図を込めれば糸にからまり意図せず迷路の扉をあける
「どういうのを?」と ぼくは聞き返す
「え?」
さっきのひとことがなかったみたいにされたけれど
ふやけた笑顔で癒されるから
なかったことでもかまわないや
すっと手を出してみた
なにそれって視線であしらわれると思ったのに
さっと手をとられて
知らん顔
まるで興味ないふうで
全部お見通しなんだね
鉄階段が響く
乾いた音は波
なにげなく始まり
気づけば うねり
とめようと
腕をのばしたはずなのに
からめとられて
立っちまったよ
全方位あますことなく見渡せる
羅針盤が刻まれた 低めの台
星の運行を刻んだ暗号が
五線譜に現れて空気ふるわせる
きみの はなうた
ぼくが はもれば
髪うねり神めいて波
キラキラ
え いまなにか見えたよね
たしかに あったよね きらきらって
砂みたいな微粒子が飛び散るのを
ぼくは黙って見過ごした