冬の空気ゆえの透明感と
肌を痛がらせる清涼感は
どうにも相性いいと思う
寒いの苦手だけど
この季節感は好き
一年間の振り返り
…春のことをうまく思い出せない
年の瀬ならではの忙しさは
ひとりのときでも脈打つけれど
塾帰りの解放感が
どれもこれもをフラットに変える
模試結果の偏差値によれば
まあまあらしいよ まあまあ
おそらく期待値など配慮されていない
あたりまえだがフラットだ
だからこその安心感ってあると思う
事実を認めて
現実を受け入れ
誠実を着こなせば
脳を騙せることが可能
大丈夫だよ
んなわけあるかい
波打ち際の はぐれ雲
せめてなにか こう
意見を求められたときは
正確に言えるよ「わかりません」と
根拠を示せと責められたなら
正式に告げるさ「好みだから」と
おれが生きる世界は宇宙に繋がって
ときどき呼吸を忘れさせるけど
律儀に心臓は血液を送る
ぐるりと汚れて戻ってきても
おそらくビートは変わらない
なにもかも もう
努力の枠の外にある
運しだいでは可能性
そんなファジーでかまわない
ほんとうは選択肢がたくさんあり
ほがらかに過ごせる場所もあるのに
『自分で決めたことでしょう』
そのひとことを告げられたとき
ああなるほどね
そういうことね
と
不覚 納得 理解 まざりまくり
自分で決めたことでしょうと指摘されれば
それは事実なんだけど
選択肢を狭めたのは あなたでしょう
このなかから選びなさいと
これしかないのとウソをついて
笑顔で戦場に送り出したくせに
でも
それでよかった
と
いまは思う
だって いろいろ気づけたから
あれでよかった
と
まじで思う
だって 砦を築けたから
地図は完成されており
すでに空白などないが
立体的には余白だらけで
街を歩くと見えてくる
おれの砦
さあ 登るよ 冷たい風が吹いているから
観光客ならいないはず
手袋越しでも伝わってくる錆びついた欄干の冷たさ
ああでもなんでだろうとてもすごく
アタタカイ