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第53話 空気が冷たくなってきた

空気が冷たくなってきて

ほてった頬の熱が散りはじめた


もう一度たしかめよう


創造すればいい

想像からでいい

空想してもいい

妄想かもしれないが


すべて手帳にしまっておけ


さあ目の前にいる彼女と対峙しよう

なにかが壊れるかもしれない

なにかを生み出してしまうのかも

なにかが歪んで元に戻らず

どうにもガタツクことだとしても


受けとめよう

その現実を

この混乱を

あの物語とかけはなれても


これが僕と君の冬物語

誰も立ち止まらない雪

誰も気にしない舗道で


たったひとことで済む

くりかえすよ一度だけ


その一度きりにこめる想いは

弾丸になりそこねた感情の濃縮で

還元するには涙が必要となる


しぼりたての果汁を求めているのは

君も同じだと思うから

僕は冷静に問いかける

ほてった頬の熱を逃がしていく

空気が冷たくなってきた




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