いつも前を向いて歩いてる気になってる
けど
ときどき突きつけられてしまう
ほら
まるでカニみたいに横
顔だけじゃないよ横
からだ全体を横
肩で空気を裂く感じ
砂混じりの潮風が痛くて
とても前を向いていられない
一段
一段
一段
と
上を目指して進むけれど
かろうじて横
やっとの思いで
横向きから上へ
鉄階段の欄干にも砂
というより小石だな
カコーン
歯切れの悪い足取りで
よろめいちゃうし
靴音が響きそうで
吸い取られてしまう
まるで無音な騒がしさ
照りつける陽射しの熱いこと
まるで
なにしに来た
なにする気だ
と
制止されてしまう
見渡したい
眺めたいんだ
少しでいい
おれの心グラつかせたい
ふるえている原因を
なにひとつ今日も解決できなくても
おれの心グラつかせてくれ
世界は美しい
この体に叩き込んでくれ
忘れてもなお
忘れられない
希望と呼ぶことさえできない
おれのわがままを
歪んだ針金さらに歪ませて
ほんの匙加減で
まっすぐになるように