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第103話 好奇心が教えてくれる

きゅうくつだなあ

理解していたわけじゃないけど


なんだかな

なんだかヤダ

自分の気持ちが

ふるえだしたら

よく出かけた


すぐ近く

橋を渡り

草むら

ちょっとした空地と

崩れかかった崖

なんだけど

幼きいころの私には

山岳地帯の大草原でした


はっきりわからなかったけれど

たぶん

あれが

私の家

そんな屋根を探したこともあるけれど

あれはどこ

あれはなに

あっちのほうに あれなに

好奇心を泳がせる


そこに応えがなくても

楽しむことができて

どこにも答がなかったけれど

『これでいい』と感じられた気がする

誰にも共感してもらえなくて

なにか不都合あったっけ

ただ いつも いつもの

家を

橋を

商店街を

友だちの家

郵便局

幼稚園の木立ち


いつもとちがう角度

いつもとちがう高さ

いつもとちがう感度

はっきりわからなかったけれど

はっきり行動していた


ときどき視界がぼやけて

にじむ世界は

ゆがんで見えて

あぶない

子供でもわかったよ

あぶないから

ちゃんと泳がなくちゃ


安全な場所も

無事に帰る方法も

好奇心が教えてくれる




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