新しい一歩を踏み出したのに
ふとしたとき
よみがえる
ああ
絶句しかけた次の瞬間に
脳内ゴボッと言葉あふれ
おぼれそうだよ
新しい一歩を踏み出したけど
消せはしない
よみがえり
深く傷ついた私の心
でも同時に
はかりしれないくらいに
大切な人を傷つけてしまった事実
ごめんね
ごめんな
ごめんなさい
ちゃんと言った
ちゃんと伝えた
けれども
なにも伝わってないかもしれない
ううん
ちゃんと伝わって
ちゃんと分かり合えて
それでも
もっと別の言い方がある気もして
また言葉を探すのでしょう
新しい一歩は
新しい言葉との出会いを求めて
そんな言葉と出会えたからこそ
また伝えたくなるのです
届け
そう願いつつ
なにもかも手遅れなのも
わかってしまうのです
よみがえれ
消えてもなお
新しい一歩を踏み出せたなら
つかんでみせる今度こそ
不自然な意気込みがこみあげてきた
でも
すぐに熱は冷めて
ゆっくり息を吐くと
なるようになる
なるようになれ
でも
胸の奥に理想を高く掲げながら
知らんツラして
一歩
一歩
また一歩 そうさ
歩き続けよう
目指した丘に着いても
やがて下り坂となって
嘆かわしい景色を見てもなお
この一歩
リズミカルな行程が
不機嫌を去らせて
御機嫌を呼び集め
ひとときの仲間とともに
つかのまを味わいつくせば
私も去りゆくものの一人
一歩一歩は消えて
移動距離が増えて
数を数えなくなったときこそ
あの一歩の意味がわかる
踏み出してよかった
踏み出せてよかった
運がよかっただけ?
それでも なお
こみあげる
途方もない旅でさえ
あの一歩があればこそ