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第九十六章 演奏会。

☆第九十六章 演奏会。


 萌奈ちゃんの手術が無事に終了したとの連絡があった。わたしはあの日、萌奈ちゃんと連絡先を交換していた。

 小児がんとはいっても具体的な症状まではわからないけれど

 手術から一週間後、またメッセージが入っていた。


『琴さん、箏曲部の顧問の件って考えてくれました???』


 あの話はマジだったのか。本当にわたしなんぞが顧問をするのか。どうしよう、なんて返事しよう……。


『わたしなんかて顧問が勤まるかしら……』

『もちろん☆みんな大喜びですよ』


 聞くところによると、箏曲部の部員は全員で十人、萌奈ちゃんがいないので実際は九人で活動しているらしい。


『近々、文化センターで演奏会があるので、よかったら行ってみてください』


 萌奈ちゃん自身はまだ退院できないようだが、文化センターは家から割と近いので、日曜日、わたしと藪内さんと杏の三人で観覧に行った。


 吹奏楽部もそうだが、楽器というのは基本、値段が高い。琴 ✕ 9=……。


 部員たちは皆、手作りしたのだろうか和風のシャツを羽織っていた。

わたしが通っていた田舎の学校に箏曲部なんてなかったから、合わさるとどうなるのか。


 お琴の演奏で定番は『さくらさくら』など日本人が誰でも知っている曲だが、意外にも今回の演奏はディズニーの曲だった。


 聞いていて楽しいが、正直上手いとは言えない。ミスも目立つし、緊張しているのか観客席から見ていても奏者の肩がガチガチだとわかる。


 三曲で終わった。ああ、顧問に来てくださいか……確かに課題は多そうだ。


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