☆第百十七章 ジューンブライド
そんな頃に環名ちゃんの結婚披露宴がある。六月上旬でまだお腹も出ていないので、普通にドレスを着て参加する。
結婚式は、ホテル内にあるガラス貼りのチャペルで、披露宴は、ホテルの大宴会場で。
広い空間にいくつもの丸テーブルと椅子が並ぶ。これは確かに広いし、椅子の数がすごい。
「新郎新婦、入場です!」
純白のウエディングドレスがなんときらびやかで、環名ちゃんの笑顔が素敵だ。
式が始まったばかりなのに、泣いてしまいそうだ。
「琴ちゃん、泣いているの?」
麗奈が笑っている。
「歳をとると涙もろくなるねぇ……」
「まだ三十五でしょw」
「麗奈だって絶対泣くよ~」
それにしても、式場は広いし、グランドピアノがあって、天井からたくさんのシャンデリアがぶら下がっている。
お色直しが二回あるという。環名ちゃんはカラードレスだけで十分らしいが、家が呉服店なので、晴れ着も着てほしいという両親の願望で、純白のウエディングドレスから水色の爽やかなカラードレス、そして、着物。環名ちゃんは髪が栗色で、目も栗色だ。身長は低めだが、スタイルはいい。出るとこでてるし……。色打掛は赤。水色も赤も彼女はよく似合う。
前澤さんも男前だ。いいな。洸稀さんは式を挙げると言ってくれたが、こんな豪華な式はまあ無理だろう。
予想通り、両親への手紙を読んでいる時点で麗奈は号泣していた。
そして、両親の手紙を読み終わって会場がしんみりしていると突然
「すみません、もう一つ手紙があります」と環名ちゃんが手紙を取り出した。
「琴さん麗奈さん、天国のあき婆へ、いつも見守ってくれていてありがとう」
そんなサプライズ、涙が止まらないではないか。