目次
ブックマーク
応援する
いいね!
コメント
シェア
通報

第百二十章 眠気との闘い。

☆第百二十章 眠気との闘い。


 双子妊娠中、吐き気や倦怠感といったつわりがないのはありがたいが、とにかく眠いのだ。ネットでも眠いという意見が多かったが、本当に眠くて、出勤のために始発電車に乗った途端にzzz……。


 働いている間も眠い、とにかく眠い。


 職員は皆いい人でわたしの状態を理解してくれていると思っているが、心の中では「なんで働き始めたばっかりで妊娠してんの」とか思われているだろうなって感じる。


 妊娠するのに時期を選ぶっていうのは大人のマナーなのかもしれない。が、そんなことを言っているといつの間にか歳をとって、だんだん妊娠率は下がるのかもしれない。


 仕事中、職員と藍ちゃん、奏ちゃんはお昼ご飯を食べる。食べたあと、眠くて瞼が半分落ちてい

 ああああああ、カフェインを大量摂取しない方がいいのはわかっているが、ブラックコーヒーを飲みまくっている。


 ここで働いている職員は全員で十二人。館長は六十代の女性で柔和な表情でいつもニコニコしている。副館長は男の人で、失礼かもしれないけど頭がツルツルなので、年齢不詳だ。


 館長のキタムラさんは、いつもわたしの身体を気遣ってくれている。


 妊娠四ヶ月、まだお腹は出ていないが、母子手帳をもらいにいったら2冊渡された。


「出産予定日が一月後半ですね」

 って産婦人科の先生に言われて、それもまた偶然の偶然で、わたしの誕生日も杏の誕生日も全部一月だ。唯一、洸稀さんだけ、誕生日が六月で夏生まれ。


 なんだか笑ける。みんな寒い時期を好んで産まれるのか。


 しかし、双子の出産の場合は、早い時期に帝王切開になる可能性もある。自然分娩で産めるのか、帝王切開になるのか。


 エコーで見る限り、今はまだ、二人とも子宮内で穏やかにふわふわしているが、成長するにつれて、窮屈になって、ちょっと邪魔だよ(笑)みたいなことになっているんじゃないか。


 本当に馬鹿げた話なのだが、早番で仕事が終わった日に三時にタイムカードを押して、帰りの電車に乗っていた。その日はどこかの小学校が遠足なのかたくさん児童が車内にいて座れなかったので、ドアにもたれかかった状態でウトウトしていたら、ドアが開いて、わたしはそのままホームへ倒れ込むかのように転んだ。



 ガツンっ!!!! 激痛で頭から☆がでそうになった。と同時に腰も強打して、うずくまっていたら、救急車を呼ばれてしまった。


 本当に馬鹿げた話だ。でもわたしは頭に大きなたんこぶができて、腰も痛めてしまった。お腹の子は無事みたいだが、眠気のせいでこんな怪我までするなんて、侮れない睡魔。


この作品に、最初のコメントを書いてみませんか?