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第百二十三話

授業が終わり、学生たちが友人と集まり教室から出ていく。


ドルン教授は黒板の前で今日教えていた内容をまとめている。


「僕はドルン教授と少し話していくから、エマは先に戻っててもいいよ」

魔道具の話を少ししたかったのでエマに提案する。


「う、うん。わかった。また明日ね」

エマが手を振り教室から出ていく。


「また明日!」

アルージェも手を振りエマを見送る。



「ドルン教授。今いいですか?」

アルージェが話しかけるとドルンが顔を上げる。


「アルージェ君か、先ほどの続きですね」


「はい!僕が作った魔道具を見てほしくて!」

アイテムボックスから以前作った冷房やウォシュレットを見せる。


「どれも見た目からは判断できないですね。一つずつ聞かせていただきましょうか」


アルージェが使い方を説明し終わる。


「なるほど。どれも非常に面白い着眼点ですね!アルージェ君も武器では無く、魔道具作成をすればいいのに、これだけ便利なものならお金になりますよぉ!」

ドルンに悪い顔で勧められる。


「あははは、なら道に迷ったら魔道具製作の道に進もうかな」


「そうですね、まだアルージェ君は若いので一つの道として考えてもらうといいかもしれませんね」


「そういえば教授は鉄に五つ付与できるって言ってましたけど、どうやってやるんですか?」


「アルージェ君はなかなか勉強熱心ですね。アルージェ君と話してると話が尽きなさそうなので、今日はここまでにしましょう。また授業に来てください。その時に話しましょう!」


「あぁ、そうですね。いつまでも話し込んでしまいそうです。また授業に来ます!」

眠っているルーネを起こして、アルージェは教室を後にする。


「アルージェ君、お待ちを!」

ドルン教授がアルージェを引き留める。


「ん?」


「忘れ物ですよ」

ドルンはアルージェの後ろを追従するがアルージェが作成した、泥人形ゴーレムを渡される。


「あはは、話に夢中になりすぎて忘れました」

アルージェは泥人形ゴーレムを受け取る。


泥人形ゴーレムはうまく使えば、自分の生活の面倒くさいところ全てを自動化して、自分の時間をより有意義に使えるようになる。大事にしてあげてくださいね」


「ゴーレムで自動化・・・?」

アルージェは少し考えこむ。


「確かにその通りですね!なんだろう、ちょっと面白いこと思いついちゃいました!失礼します!」


アルージェはルーネに跨り教室からそそくさと出ていく。


「アルージェ君は若いからか思考が柔軟なのかもしれませんね」

ドルンは今日の授業の進行度について続きを書き始める。


一方アルージェはルーネに寮まで運んでもらっている。


「この弾性ピョンピョン泥人形ゴーレムをもう少し改造して、訓練用の泥人形ゴーレムを作ろう」


寮に戻り、すぐに作業をしようとしたがミスティに止められてしぶしぶご飯を食べる。


アルージェは食後の紅茶をゆっくりと飲むふりをしながらも、どこか落ち着かない様子。


「はぁ、アルージェは本当にわかりやすいな」

ミスティはため息をつきながらも、わかりやすい態度をとるアルージェに微笑む。


「えっ?な、なにがですか?」

アルージェはそわそわしながらもまだごまかせているつもりでいる。


「いや、何でもないさ。付き合ってくれて嬉しかったよ。もう部屋で作業を始めてもいいぞ」


「あっ・・・、あはは、食事中なるべく出さないようしてたんですけど、バレてましたか」


「ふふふ、早くいくといい」


「ありがとうございます!」

アルージェはミスティの許可が出たので、そそくさと部屋に戻り作業を始める。


「この泥人形ゴーレムの弾性はそのままに刻印の記述を少し変えよう。永続型じゃなくて起動型に変更。対象の指定を起動した人になるように魔力周波数の識別もしないとね」


アルージェは思い立った機能をすべて刻印していく。


「できたぁ!」

昼ごはんを食べた後、すぐに始めた作業だったが、いつの間にか辺りは暗くなっていた。


「あらら、もうミスティさん達は寝てる時間かな・・・?騒いだらまずいか・・・」

自分の部屋から出て、少し様子を伺う。


「マイアさんもここにいないってことは深夜かもしれないな・・・、動作確認は起きてからにしようかな」

ルーネと風呂場に向かい、魔法でお湯を張って風呂に入る。


「はぁ、なら寝るかー」

水気を魔法で無くしてベッドにダイブする。

けどルーネと一緒に寝たくなったので、丸まって寝る体勢になっているルーネのほうに移動し、尻尾を掛布団変わりに拝借して眠りに入る。


ルーネは片目だけ開けてアルージェの様子を見るが、すぐに寝息を立て始めたので目を閉じてルーネも眠り始める。


翌朝、少し遅めの起床だが今日は休息日なので問題はない。


伸びをして、体の解して立ち上がる。

「よし起きた!よく寝た!」

自分の部屋から出ると、ミスティとエマとマイアがで談笑していた。


「おぉ!皆さん!おはようございます!」


「おはようアルージェ。もう昼近いから早くはないがな」


「アルージェ君!おはよう!」


「おはようございます。昨夜も遅くまで作業をされてましたね」

マイアの言葉を聞いて、ミスティがギロリとアルージェを睨む。


「な、なに言ってるんですか!めちゃ早寝でした!今日は日頃の疲れが溜まってたのかなぁ?あはははは」

そそくさと歯磨きや顔洗いをするため洗面台に移動する。


「はぁ・・・、アルージェは本当に・・・」

ミスティはため息をつき、頭を抱える。






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