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第百四十六話

昼食が終わり秘密結社らびっといあーメンバーとマイアが、せっせと食器の手入れをする。


「みんな、ちょっといいかな?今後の予定の認識合わせしておきたいんだけどいいかな?」

昼食後、アインが注目を集める。


「そうですね。一応しておきましょう」

アルージェもアインに同意する。


「ありがとう。アルージェ」

アインがアルージェに礼を言い、他の者達を見渡す。


各々頷きアインに賛同する。


「ありがとう。それじゃあ確認させてもらうね。まずフォルスタに戻る。それは間違いないよね?」


「そうだな。私達の目的はニツールと辺境伯邸。どちらに行くにもフォルスタが中継地点になる。以前フォルスタから王都に来た際は一月程掛かった、今回もそれくらい見ておけばいいだろうか」

ミスティがアインの言葉を補足する。


「そうですね。天候や魔獣の襲撃具合にも寄ると思いますが、それくらいでフォルスタには着くと思います」


「ま、魔獣もやっぱり襲ってくるんですね・・・。それにア、アルージェ君の故郷ってそこから更にかかるんですよね?私大丈夫かな・・・」

エマはラーニャの言葉を聞いて不安を顔に出す。


「魔獣の襲撃で思い出したけど、夜番どうする?」

カレンが体を伸びをしながら確認する。


「バウッ!」

ルーネがアルージェの横まで移動して吠える。


「夜番は自分に任せろってルーネが言ってます」

アルージェはルーネを撫でる。


「いいのかい?流石に一月ずっと頼むのは申し訳ないんだけどな」


「大丈夫ですよ。フォルスタから王都に来た時はずっとしてましたから」


「むっ、そうだったのか。私達は知らぬ間にルーネとアルージェに守られていたのか」

ミスティには夜番が必要だと知らなかったので、あの時は割とすぐに眠っていた。


「あははは、僕だってルーネに呼ばれてやっと起きるって感じだったので、ほとんどルーネのおかげですよ」


「フンス!」

ルーネは胸?を張り、鼻息を荒くする。


「こういう時のことを考えて、探知系の魔道具を作っておけばよかったなぁ」

言葉に出した後、すぐにアルージェは魔道具の構想を考え始める。


「ア、アルージェ君。考えるのは町についてからにしようよ」

エマが自分の世界に入りそうになっていたアルージェを連れ戻す。


「あっ、そうですね。すいません、つい癖で」


「ねぇ、あんたいつもあんな感じなの?」


「あんな感じとは?」

カレンの言葉の意味が分からず、アルージェは聞き返す。


「カレン教授。アルージェはいつもあんな感じだ」

ミスティがすかさず答える。


「ふーん、あんた達も大変ね。それでどっちがアルージェの本命なの?」


「お、おい。カレン流石に踏み込みすぎじゃないか」

アインが慌ててカレンを制止する。


ミスティとエマは俯き無言になる。


「何言ってるんですか!僕達そういう関係じゃないですから!」

笑いながらアルージェが答える。


「えっ、あんた達もしかして・・・」

カレンはエマとミスティに交互に視線を送る。


「ふふふ、皆さん若いですね」

ラーニャが微笑む。


「ほら、カレンが余計なこと言うから!どうするんだい?この空気」

アインがカレンを睨みつける。


「ご、ごめんってば!だってなんか三人ともすごい見知った仲って感じで、まだ最中だって思わないじゃない!」


「はいはい。今後の予定について話しましょうね」

ラーニャが話を元の道筋へ戻す。


「ははは、そうだね。カレンには魔法だけじゃなくてもっと空気を読むことを学んでもらうとしよう。フォルスタに着いた後は何日か滞在して、ニツールに向かうで問題ないかい?」


「はい!フォルスタに戻るの久しぶりなので会いたい人もいますし。それで大丈夫です!」


「それから、ニツールでも何日か滞在して、またフォルスタに戻る。その後は?すぐに辺境伯邸に向かっていいかな?」


「あ、あのニツールから辺境伯邸に直接行くのは難しいんですか?」

エマは土地勘が無いのでいまいちピンと来ないで尋ねる。


「行けなくはないが、おそらくフォルスタを経由する方が楽だろうな。まぁニツールからフォルスタまでの道も、整ってはいないと思うからなんとも言えないが」

ミスティはニツール付近も何度か行ったことあるので、エマの問いに答える。


「そうだね。どっちもどっちだけどずっと畦道を行くよりは、ある程度整っているフォルスタからの道を行くほうが楽だとは思うよ。魔獣も冒険者が定期的に狩ってるだろうからね」


「そ、そうなんですね。す、すいません、口を挟んでしまって」

エマの体が少し縮こまる。


「何言ってんのよ。疑問点やらそういう意見はしっかり確認するのが大事よ」

カレンがエマの様子を見てフォローを入れる。


「そうだね。そうやって意見を言ってもらえるのはありがたいよ。気になったらバシバシ言って欲しい」

アインもカレンのフォローに補足するようにエマに伝える。


「あ、ありがとうございます」

縮こまったエマの体が元に戻る。


「なら、この先の予定も決まったことだし。そろそろ移動を始めようか。」

アインの号令に皆頷き、立ち上がる。


アイン達が先頭に立ち、ミスティは馬車の中に入り、マイアが御者をする。

秘密結社らびっといあーはミスティの馬車に全員乗るが、二人?二匹?二体?はマイアの隣に座り御者気分を味わっている。

動きを見ている限りではきっと人がいっぱい居て楽しいんだろう。


エマはルーネに乗せてもらっている。

アルージェはその後ろに陣取り、後方を確認しながらみんなについて行く。


アインが初めに考案した陣形で、とりあえずこの陣形で進むことになった。

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