門でアインさん達と合流して、二ツールに向かう。
二ツールへは五日程でたどり着く予定だ。
「陣形は前と同じでいいかい?」
アインが念の為確認する。
みんな頷きアインに賛同したので、陣形を変えずに進むことにする。
ニツールまでの道のりは冒険者達が魔獣を倒してくれているので、
森に入らなければほぼ安全だ。
稀に森から魔獣が現れるが、本当に稀で出会ったら運が悪かった思うしかない。
アルージェ達は何事もニツールに到着する。
「止まれ!」
ニツールの門番がアルージェ達に制止を促す。
そして門番が近づいてくる。
「ん?もしかしてアルージェか?」
門番がアルージェに気付く。
「はい!フリードとサーシャの息子アルージェです!」
アルージェは前に出て、答える。
「おぉ!やっぱりか!よく戻ったな!」
警戒していた門番はアルージェだと分かり、笑顔で迎える。
「はい!後ろの皆さん僕の仲間なのですが入っても良いですか?」
門番は後ろを見て、大きな狼ルーネに一瞬驚く。
「お、おう!あの狼もアルージェの仲間なんだよな?」
「そうですよ!」
「よし、なら問題ないだろ!元気な姿早く二人に見せてやんな!」
「ありがとうございます!」
ゾロゾロと入村してアルージェの家に向かう。
「二年くらいしか離れてないけど、全然変わってないな」
自分の家が見えてきて、アルージェは少し懐かしさを覚える。
家の扉の前に立ち大きく息を吸ってから、扉をノックする。
「はーい」
元気な若い女子の声で返事があったので、扉が開かれるのを待つ。
扉が開くと青色の髪で肩くらいまで伸ばしている少女が、海のような紺碧色瞳でこちらみる。
そして目を大きくして「にぃにぃ!?」と声を上げる。
「ただいま、マール。元気にしてた?」
「パパ!ママ!にぃにぃが!にぃにぃが!」
家の中に向かってマールが叫ぶ。
「あらあら、マールったら、またお兄ちゃんの話?本当に好きねぇ」
サーシャがエプロンで手を拭きながら家の奥から出てくる。
そして扉の方を見て、目を丸くする。
「アル!おかえり!」
サーシャが駆け寄って、アルージェを抱きしめる。
何やら家の中が騒がしいと思い、フリードが家の奥にある畑から顔を見せる。
そしてアルージェの姿に気付き、水場で手を洗って服で拭きながら駆け寄ってくる。
「アル!よく戻ったな!元気にしてたか?」
「父さん、母さん、ただいま。見ての通り元気だよ」
「全然顔も出さないから、母さん凄い心配してたぞ?」
「あら?フリードだって、アルは無事街についただろうか。ってずっと心配してたじゃない」
「お、おい!それは言うなよサーシャ!」
「自分だけ格好つけようとするからですよ。それよりアル後ろの方たちは?以前村に来てくれていたアインさん達は知ってるけど」
「あっ、そうだね。紹介するね。えと、まずこの大きな狼が僕の相棒ルーネだよ」
アルージェが紹介するとルーネは元気よく「ワウッ」と吠える。
「あらあらお行儀のいい狼さんねぇ」
「大きなワンちゃん!可愛い!」
マールは早速ルーネが気に入ったようで、抱き着いている。
ルーネは満更でもなさそうだ。
「この可愛いぬいぐるみ達が、
キュピキュピと音を出しながら前に出てきて、ポーズを決める。
「可愛い!」
マールは
「それとこちらがミスティさんとマイアさんとエマだよ」
それぞれの隣に立って、一人ずつ紹介していく。
「あいさつが遅くなってしまって申し訳ありません。この度アルージェさんと婚約をすることになりました。ミスティ・ブレイブラインです。今後ともよろしくお願いいたします。そして、隣が私の側付きのマイアです」
「こんにちは、アルージェ様にはお世話になっております」
マイアがペコっと挨拶する。
「わ、私もアルージェ君の婚約者のエマです。こ、これからよろしくお願いします」
「あらあら、まぁまぁ!」
サーシャは嬉しそうにフリードをベシベシと叩く。
「おいおい、アル!やるな!それにしても二人っていつの間にか貴族にでもなったのか!?」
フリードはアルージェを肘で小突く。
「ブレイブライン・・・?ブレイブライン!?フリード!こ、この方、辺境伯様の娘様ですよぉ!どうしましょう!どうしましょう!」
いつもおっとりとしているサーシャが珍しく、慌てている。
「な、なに?辺境伯様!?お、おい!アル!どういうことだ!?えっ?えっ?」
フリードはサーシャよりも慌てふためく。
何をしていいか分からなくなったフリードは、とりあえずミスティに頭を下げる。
「義父様、義母様、頭をあげて欲しい。確かに私は辺境伯の娘だが、気にしないで大丈夫だ。これから家族になるのですから」
「あ、ありがとうございます。え、えっと。そ、そちらのお嬢さんも貴族様・・・?」
フリードがエマの方へ視線を向ける。
「い、いえ、私は平民です。魔法学校でアルージェ君と知り合って、今に至ります」
「ま、魔法学校!?アルは魔法も使えるの?それより学校に通ってるってお金どうしたの!」
「あはは、ちょっと色々有ったんだよ。話すから中に入っても良いかな」
「そ、そうね。ちょっと色々あり過ぎて、慌てちゃって。皆さん中にどうぞ」
「すいません、俺達はちょっとロイさんのところに挨拶行きたいんで」
久々の再会を邪魔したら悪いと静かにしていた、アインが声を出す。
「あら?そうね。ロイさん達もアインさん達が来たって分かったら喜ぶと思うわ!ならミスティちゃん、マイアちゃん、エマちゃん、ほら中に入って入って!」
アイン達はロイの家に向かい、ミスティとエマは家に入る。