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第百五十五話

門でアインさん達と合流して、二ツールに向かう。


二ツールへは五日程でたどり着く予定だ。


「陣形は前と同じでいいかい?」

アインが念の為確認する。


みんな頷きアインに賛同したので、陣形を変えずに進むことにする。

ニツールまでの道のりは冒険者達が魔獣を倒してくれているので、

森に入らなければほぼ安全だ。


稀に森から魔獣が現れるが、本当に稀で出会ったら運が悪かった思うしかない。


アルージェ達は何事もニツールに到着する。


「止まれ!」

ニツールの門番がアルージェ達に制止を促す。


そして門番が近づいてくる。


「ん?もしかしてアルージェか?」

門番がアルージェに気付く。


「はい!フリードとサーシャの息子アルージェです!」

アルージェは前に出て、答える。


「おぉ!やっぱりか!よく戻ったな!」

警戒していた門番はアルージェだと分かり、笑顔で迎える。


「はい!後ろの皆さん僕の仲間なのですが入っても良いですか?」


門番は後ろを見て、大きな狼ルーネに一瞬驚く。


「お、おう!あの狼もアルージェの仲間なんだよな?」


「そうですよ!」


「よし、なら問題ないだろ!元気な姿早く二人に見せてやんな!」


「ありがとうございます!」


ゾロゾロと入村してアルージェの家に向かう。


「二年くらいしか離れてないけど、全然変わってないな」

自分の家が見えてきて、アルージェは少し懐かしさを覚える。


家の扉の前に立ち大きく息を吸ってから、扉をノックする。


「はーい」

元気な若い女子の声で返事があったので、扉が開かれるのを待つ。


扉が開くと青色の髪で肩くらいまで伸ばしている少女が、海のような紺碧色瞳でこちらみる。


そして目を大きくして「にぃにぃ!?」と声を上げる。


「ただいま、マール。元気にしてた?」


「パパ!ママ!にぃにぃが!にぃにぃが!」

家の中に向かってマールが叫ぶ。


「あらあら、マールったら、またお兄ちゃんの話?本当に好きねぇ」

サーシャがエプロンで手を拭きながら家の奥から出てくる。

そして扉の方を見て、目を丸くする。


「アル!おかえり!」

サーシャが駆け寄って、アルージェを抱きしめる。


何やら家の中が騒がしいと思い、フリードが家の奥にある畑から顔を見せる。


そしてアルージェの姿に気付き、水場で手を洗って服で拭きながら駆け寄ってくる。


「アル!よく戻ったな!元気にしてたか?」


「父さん、母さん、ただいま。見ての通り元気だよ」


「全然顔も出さないから、母さん凄い心配してたぞ?」


「あら?フリードだって、アルは無事街についただろうか。ってずっと心配してたじゃない」


「お、おい!それは言うなよサーシャ!」


「自分だけ格好つけようとするからですよ。それよりアル後ろの方たちは?以前村に来てくれていたアインさん達は知ってるけど」


「あっ、そうだね。紹介するね。えと、まずこの大きな狼が僕の相棒ルーネだよ」

アルージェが紹介するとルーネは元気よく「ワウッ」と吠える。


「あらあらお行儀のいい狼さんねぇ」


「大きなワンちゃん!可愛い!」

マールは早速ルーネが気に入ったようで、抱き着いている。

ルーネは満更でもなさそうだ。


「この可愛いぬいぐるみ達が、秘密結社らびっといあー

キュピキュピと音を出しながら前に出てきて、ポーズを決める。


「可愛い!」

マールは秘密結社らびっといあー達に目を輝かせる。


「それとこちらがミスティさんとマイアさんとエマだよ」

それぞれの隣に立って、一人ずつ紹介していく。


「あいさつが遅くなってしまって申し訳ありません。この度アルージェさんと婚約をすることになりました。ミスティ・ブレイブラインです。今後ともよろしくお願いいたします。そして、隣が私の側付きのマイアです」


「こんにちは、アルージェ様にはお世話になっております」

マイアがペコっと挨拶する。


「わ、私もアルージェ君の婚約者のエマです。こ、これからよろしくお願いします」


「あらあら、まぁまぁ!」

サーシャは嬉しそうにフリードをベシベシと叩く。


「おいおい、アル!やるな!それにしても二人っていつの間にか貴族にでもなったのか!?」

フリードはアルージェを肘で小突く。


「ブレイブライン・・・?ブレイブライン!?フリード!こ、この方、辺境伯様の娘様ですよぉ!どうしましょう!どうしましょう!」

いつもおっとりとしているサーシャが珍しく、慌てている。


「な、なに?辺境伯様!?お、おい!アル!どういうことだ!?えっ?えっ?」

フリードはサーシャよりも慌てふためく。


何をしていいか分からなくなったフリードは、とりあえずミスティに頭を下げる。


「義父様、義母様、頭をあげて欲しい。確かに私は辺境伯の娘だが、気にしないで大丈夫だ。これから家族になるのですから」


「あ、ありがとうございます。え、えっと。そ、そちらのお嬢さんも貴族様・・・?」

フリードがエマの方へ視線を向ける。


「い、いえ、私は平民です。魔法学校でアルージェ君と知り合って、今に至ります」


「ま、魔法学校!?アルは魔法も使えるの?それより学校に通ってるってお金どうしたの!」


「あはは、ちょっと色々有ったんだよ。話すから中に入っても良いかな」


「そ、そうね。ちょっと色々あり過ぎて、慌てちゃって。皆さん中にどうぞ」


「すいません、俺達はちょっとロイさんのところに挨拶行きたいんで」

久々の再会を邪魔したら悪いと静かにしていた、アインが声を出す。


「あら?そうね。ロイさん達もアインさん達が来たって分かったら喜ぶと思うわ!ならミスティちゃん、マイアちゃん、エマちゃん、ほら中に入って入って!」

アイン達はロイの家に向かい、ミスティとエマは家に入る。



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